防衛ラインに達した円安:当局は介入が近いことを強く示唆:マイナス金利解除で日銀も円安阻止のより強い手段を手にした
マイナス金利解除で日銀は円安をけん制する強い手段を手にした
為替政策はもっぱら財務省が担っており、その手段は為替介入である。他方、日本銀行は、金融政策を通じて為替市場に影響を与えることが可能な立場にある。そして、マイナス金利解除後は、為替市場により大きな影響を与えることができる手段を手にしたと言える。 従来であれば、国債買いオペを通じ長期金利の上昇を促すことで円安の流れを抑える手段にとどまっていた。しかし今や、政策金利を追加で引き上げる、あるいは引き上げる可能性を示唆することで、より強力に円安をけん制することが可能となったのである。また、市場が追加利上げの可能性を意識するだけでも、円安抑制効果が生じるだろう。 そうした日本銀行と為替介入を実施できる政府とが連携すれば、従来以上に円安を食い止めることが可能となるのではないか。目先は、米国側の材料を受けて152円を超えて円安が進む可能性はあるが、その後は政府の為替介入、そして政府と日本銀行との連携により、再び円高方向に押し戻されるという展開となることを想定しておきたい。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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