岡村靖幸と斉藤和義のマルチな技能を存分に発揮したスペシャルライブ「岡村和義 LIVE TOUR 2024 OKAZ TIME」
岡村靖幸は19歳の時に作曲家としてデビューし、渡辺美里や鈴木雅之らに楽曲を提供していた。1986年にシングル「Out of Blue」でアーティストデビュー。「だいすき」「ラブ タンバリン」「どぉなっちゃってんだよ」「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」など、強烈な個性を放つ楽曲を次々と生み出し、ポップな要素を持ち合わせたファンクなスタイルで独自のポジションを確立。1989年以降は、作詞・作曲・編曲はもちろん、プロデュースや多くの楽器演奏も自身が行い、マルチな才能を生かして楽曲を制作してきた。 【写真を見る】全国ツアーを行った岡村和義 一方、斉藤和義は1992年にテレビのオーディション番組で勝ち抜き、1993年にシングル「僕の見たビートルズはTVの中」でメジャーデビュー。1994年にフジテレビの番組「ポンキッキーズ」で使われた「歩いて帰ろう」でブレイク。ストーリー性やメッセージ性の強い楽曲も多く、「幸福な朝食 退屈な夕食」を聴いた作家・伊坂幸太郎が会社を辞めて作家に専念することを決めたというエピソードも有名。メロディーメーカーとしても一流で、「歌うたいのバラッド」は今も多くのアーティストにカバーされている。アコギでフォークっぽいイメージがあるかもしれないが、元々はハードロックも好んで聴いていたこともあって、エレキを弾いている楽曲に限らず、アコギを弾いていても"ロック"を感じさせてくれる。ギターに限らず、ベース、鍵盤楽器、ドラムなど、いろんな楽曲を演奏できるところは、岡村との共通点と言えるだろう。 そんな二人が「岡村和義」としてユニットを組んだのは2023年の年末。2024年1月に「I miss your fire」をリリースしたのをきっかけに5ヶ月連続リリースを行い、5月16日の仙台から全国8か所を回るツアーを行った。 東京公演の会場は、Zepp DiverCity TOKYO。岡村の「O」と和義の「K」の文字を模ったネオンライトが光るセットに2人が登場し、「I miss your fire」でライブはスタート。1曲目から独特な雰囲気が会場を包んでいく。曲の途中で、「会いたかったぜ。今夜、我々は君たちを気持ち良くさせるためにやってきたぜ。TOKYO Zepp Baby!今日、君に感じてもらうためにやってきたよ」と岡村が呼びかけ、自己紹介も行った。続いても岡村和義のオリジナル曲「愛スティル」を演奏し、「新曲いくぜ!」と言って、「少女X」「アップルパイ」「内緒だよ」と新曲を3曲たたみかける。 かと思えば、斉藤の「夢の果てまで」を岡村が、岡村の「イケナイコトカイ」を斉藤が歌うお互いの楽曲のカバーコーナーも展開。南佳孝の「スローなブギにしてくれ(I Want You)」や井上陽水と玉置浩二の「夏の終わりのハーモニー」、さらには2人がアコギを弾きながらリズムマシンを使ってYMOの「TECHNOPOLIS」をアコースティック寄りのアレンジでカバーし、その流れでアコギ2本によるブルースセッションになだれ込んだ。「TOKYOベイベー!」というフレーズでオーディエンスとのコール&レスポンスも。 終盤は、「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」「ずっと好きだった」と、2人の代表曲を"岡村和義"バージョンで聴かせ、グルーヴ感のある「カモンベイビー」で盛り上げて本編が終了。 アンコールは、岡村がベースを弾き、斉藤がドラムを叩くセッションでスタート。いろんな楽器を演奏できるマルチプレーヤーの2人だからこそできるセッションから、岡村はマイクを握り、斉藤はギターを抱え、「春、白濁」へ。岡村が「今夜、このタイミングで、この雰囲気の中で、斉藤和義のギターが、火を吹くぜ!」と煽り、斉藤の小気味のいいカッティングが響く。そしてラストは5月に配信リリースされた「少年ジャンボリー」。軽快なロックサウンドに、ノスタルジーを感じさせる歌詞が乗り、「OK!ロックンロール!ジャンボリー!」というフレーズと共に観客とのより強い一体感を作り上げて幕が下ろされた。 ファンクでロックな"岡村和義"ならではのステージは必見だ。 文=田中隆信 写真=岡田貴之
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