町田の「蹴るサッカー」はネガティブではない “色気を出さない”がゆえの「無駄」の徹底削除【前園真聖コラム】
黒田監督が規律を徹底
J1リーグも折り返しを迎えようとしている現在、首位をひた走っているのはFC町田ゼルビアだ。J2から昇格したばかりのチームが現在までの好成績を残していることに加え、その勝負に徹したサッカーのスタイル、そして指揮官の強気の発言など、町田は今のJリーグの話題の中心の1つといっていいだろう。その町田を元日本代表MF前園真聖氏はどう思って見ているのか。黒田剛監督の発言などについても聞いた。(取材・構成=森雅史) 【動画】町田MFのチャージをきっかけに両軍が入り乱れて乱闘寸前シーン ◇ ◇ ◇ J1リーグの首位を、昇格したばかりの町田ゼルビアがひた走っています。6月15日のJ1リーグ第18節で横浜F・マリノス戦に3-1で勝利を収め、2位の鹿島アントラーズとの勝ち点差を2に広げました。3位ガンバ大阪とは勝ち点差4あるので、1回の敗戦では2位までとなるACLエリート(AFCチャンピオンズリーグ)圏から落ちることはありません。 ただ、その町田のサッカーについてはいろいろな意見があるようです。「ロングボールを多用する」「ロングスローを使う」「ファウルがひどい」「時間稼ぎをよくする」などが目に付きます。また、黒田剛監督のいろいろな発言が取り上げられることもあるようです。 まず町田のサッカーについて、僕は「蹴るサッカー」というネガティブな感じを持っていません。むしろ「非常のよく整理されている」と見ています。「無駄なことをしない」「縦に速い」そして「やることがハッキリしているので選手に迷いがない」と思います。 選手は1本でも2本でも、縦にパスが入れられるのなら積極的に出していこうという指導をされていることでしょう。サッカーで最も大切な、常にゴールに向かう姿勢というのを貫いています。そこにトランジションの速さと豊富な運動量が加わって、町田の強さが形成されています。 逆に言えば、ほかのJリーグのチームはそれだけ無駄な横パスをしているということです。それに対して町田はなんの色気も出さない。単純に前線の藤尾翔太やオ・セフンを狙ったボールを入れ、サイドからは平河悠がゴールに向かって切り込んでいく。J1ではあまり用いられていなかったロングスローも効果的に使っています。シンプルにやるべきことをやっている。黒田監督がそこにしっかりと規律を徹底させて結果を出しています。