ソウル-釜山を充電なく…走行距離「500キロ」超のこの電気自動車
「新しい電気自動車(EV)アイオニック9は現代車にとって新たな飛躍だ。アイオニック5・6で学んだすべての経験が適用されたが、多様な構成で世界の消費者の心をつかむだろう」。 現代自動車の次期最高経営責任者(CEO)に内定したホセ・ムニョス・グローバル最高運営責任者(社長)は大型SUVのEV「アイオニック9」をこのように紹介した。20日(現地時間)に米カリフォルニア州ロサンゼルスのゴールドステインハウスで開催された「アイオニック9ワールドプレミア」行事でだ。 ムニョス社長は「アイオニック9はジョージア州の新しいメタプラント工場(HMGMA)で生産される予定」とし「蔚山(ウルサン)EV工場と共に2030年までに年間200万台のEV販売が目標」と述べた。世界的なEVのキャズム(一時的需要停滞)と米国のトランプ政権2期目など不確実性の中でも、現代車は電動化を継続するという意志とみられる。 アイオニック9は現代車のソフトウェア中心車(SDV、ソフトウェア・デファインド・ビークル)時代を開く最初の車だ。新車を購入した後に望む機能を追加で注文できる「フューチャー・オン・デマンド(FoD)」サービスを初めて導入した。来年2月にオープンする「ブルーリンクストア」でスマートフォンアプリのように希望する機能をダウンロードして車両に適用できる。まず前・側方駐車衝突防止補助ソフトウェア「パーキングアシスト2」、クラスター・ナビゲーション画面を変えることができる「ディスプレイテーマ」などを提供する予定だ。 競合車種の起亜EV9は昨年の発売当時にFoDサービスを始め、米国テスラの場合、自動運転機能「FSD(Full Self Driving)」ソフトウェアなどを販売している。現代車は今後、SDV生態系を構築して製品の競争力を高めるという構想だ。現代車グループの鄭義宣(チョン・ウィソン)会長は年初の新年会で「最近はSDV転換を加速しているが、逃してはいけない核心要素は品質」と強調した。 アイオニック9は現代車電動化モデルの中で最初の大型SUVだ。ホイールベース(軸間距離)が同級最大の3130ミリで、同じプラットホーム(E-GMP)で生産した起亜EV9より30ミリ長い。座席は最大3列で最大7人乗りだ。ファミリーSUV市場を狙ったものとみられる。 アイオニック9とEV9の全幅は1980ミリと同一だが、全長・全高はアイオニック9がわずかに大きい。同級最大水準の2、3列ヘッドルーム・レッグルームを確保し、荷物容量(2列後方基準)は906リットルと、ゴルフバッグ・ボストンバッグをそれぞれ4つずつ積むことができる。 外観は車両の主要コーナー部とルーフラインがなめらかな曲線でつながり、大型車両にもかかわらず洗練されたイメージがある。現代ジェネシスのイ・サンヨプ・グローバルデザイン担当(副社長)は「空気力学的な性能と洗練されたデザインが調和するよう結びつけようとした」と説明した。 1回の充電での走行可能距離がすべての仕様で「500キロ」を超えるのも特徴だ。バッテリー容量は110.3キロワット時(kWh)で2WD航続型モデルの場合、1回の充電での最大走行距離が532キロ。前作のアイオニック6(ロングレンジ2WD基準で最大524キロ)より長い。ソウルから釜山(プサン)までの400キロを追加の充電なく走行することができる。350キロワット(kW)急速充電器で10%から80%まで24分で充電できる。 次世代インフォテイメントシステム「コネクテッドカーナビゲーションコックピット(ccNC)が搭載され、生成人工知能(AI)技術が適用された「現代AIアシスタント」で対話をするように車両と意思疎通ができる。