教員給与改定、財務省案が判明 「残業減」なら段階的に増額
公立学校教員の給与について、残業代を出さない代わりに一律支給している上乗せ分を、働き方改善の条件付きで今の「基本給の4%」から段階的に増やす案を財務省がまとめた。関係者への取材で分かった。 【写真】教員の待遇について答申される文科相 財務省の案とどう違う? 一方、文部科学省は、来年度途中から「13%」に増やすよう予算要求をしており、考えの違いは明らか。深刻化する教員の待遇改善策をめぐり、来年度予算編成に向けて綱引きが激しくなる。 教員給与は、勤務時間の把握が難しいとして、「教職調整額」と呼ばれる上乗せ分を一律支給することが1972年施行の教員給与特措法で決まっている。一方、文科省の22年度調査では、小学校で64%、中学校で77%の教員が1カ月の時間外勤務の上限(45時間)を超え、課題となっている。 関係者によると、財務省案は、授業以外の勤務削減や長期休暇取得などの徹底を求め時間外勤務の全国平均が国の目標値を下回れば、翌年度の調整額を段階的に上げるというもの。例えば1%増で増額幅は年約120億円(国費ベース)。最終的に時間外勤務を平均で月20時間まで減らし、調整額は10%とする考えだ。時短を条件にし、働き方改革につなげる狙いがある。 将来的には、調整額を廃止して残業代を払う抜本的な制度変更も視野に入れているとみられる。 一方、文科省は、人員増や勤務時間削減を図りつつ調整額を13%にする案を示している。財務省案と違い、一体的な取り組みで環境改善を進めるという考えだ。増額分は年約1千億円超(国費ベース)と見込まれる。(山本知佳、笠井哲也)
朝日新聞社