『タイプロ』、これまでの名場面を振り返る 候補生が愛されることでさらなる盛り上がりへ
timeleszの新メンバーオーディション『timelesz project -AUDITION-』(以下、『タイプロ』)がNetflixでの配信を開始してから、早くも3カ月以上が経った。18922人の応募者から現在は18人が選び抜かれており、12月27日の配信回で4次審査を通過する12人が決まるようだ。timeleszメンバーの発言に注目が集まりがちだった配信序盤と比べて、直近では候補生自体に関心が寄せられるようになり、timeleszのファンはもちろん、このプロジェクトからtimeleszを好きになったというような声も目立つようになってきた。そんな口コミを見て年末年始の休暇を利用して『タイプロ』を一気見しようとしている人も多いのではないだろうか。そこで、本稿ではグループでのパフォーマンス審査となった3次、4次審査の様子をまとめ、候補生たちの奮闘を振り返りたい。 【画像】timeleszから飛び出す名言にも注目が集まっている 3次審査には36名の候補生が集まった。課題は、9人組を4チーム作り、team GREENとteam YELLOWが嵐の「Monster」、team REDとteam BLUEがSMAPの「SHAKE」をパフォーマンスするという内容。初めてのグループ審査ということもあり、顔を合わせたばかりの候補生同士でメンバーとしてコミュニケーションを取ることが最初は難しく感じるところもあったようだ。また、感情を出すのが苦手な候補生がtimeleszの3人から「セーブしていないか? もっとできるんじゃないか?」「もっと感情的になってもいい」と指摘をされているシーンも度々見受けられ、特にクールな印象の強いteam GREENの浜川路己や橋本将生などは、自分自身がやっているつもりでも見ている人に伝わらないという壁にぶつかりながら研究している様子が見られた。 一方で、グループでのボイストレーニング後にteam GREENの鈴木凌が「歌はもともとずっと好きなので本当に歌ってる時間は幸せでしょうがなくて、『このボイトレ一生受けてたい!』ってずっと思ってた時間だったので本当に楽しかった」とにこやかに話したり、アイドル経験のあるteam YELLOWの前田大翔が「みんなで同じ曲を歌うってすごく楽しくて、集まった時にひとつの表現になるのがやっぱり良いなって思いました」としみじみと語っていたりと、レッスン自体を楽しんでいる様子も記憶に残る。 また、リーダーを決めてのグループ練習となったなか、リーダーの負担が多くなりすぎないよう、特にダンスは経験者が未経験者に積極的に教えたり、深夜まで残って自主練習をしたりと、パフォーマンスの底上げを図る姿も多く見られた。リーダーが自分自身の練習も欠かしてはいけないという葛藤がありながらも、グループ全体のことをまとめ上げていく姿にも懸命さが溢れ出ている。 本番のパフォーマンスでは、「Monster」のラスサビの鈴木と橋本、本多大夢と前田大翔のデュエットパートの後にセンターの浜川、山根航海が出てくるシーンは、グループ審査ならではの候補生同士の化学反応が感じられた。歌が苦手で練習では上ずってしまうことの多かった大上由宇は、本番のパフォーマンスでその部分を完璧に修正。努力して仕上げたことが目に見えて分かるパートだった。team REDの日野健太はジャズやR&Bを得意とするシンガーであったが、アイドルとしてグループを目指すにあたって、この審査では個性を封印。いきいきと歌いながらもグループに順応しようとするのもひとつの努力の形であった。 4次審査にはSTARTO ENTERTAINMENT俳優部から寺西拓人、今江大地、原嘉孝の3人が合流。かつてジュニアとしてグループでのデビューを目指していた、経験も豊富な実力者たちだ。特に原は、チームメンバーに「せっかくの機会だから意見を出し合って厳しく熱くやっていこう。遠慮しても意味ないから」と声を掛け、チームもギアアップ。現在は俳優として活躍する彼の「自分が勝手に蓋をしちゃってた本来の夢にもう一回だけ素直になる」という言葉も印象的だった。 この審査では、いよいよtimeleszの楽曲が課題曲になるということで、比較対象がtimelesz本人であるという厳しさに加え、3次審査とは違った自分の魅力を見せなければならない難しさがあるようだ。また、自分の武器を出すことと曲を表現すること、自分を主張することとグループのことを考えることのバランスに悩んでいる候補生も多かった。本番では「Purple Rain」のイントロの猪俣周杜の目を惹くアクションや、チームの雰囲気がそのまま乗ってテンション感の揃った「人生遊戯」のパフォーマンスなど、視聴者の心に残っただろう。 また全体的に見て、3次審査では練習中は前髪を下ろしていた加賀谷桜汰が本番ではオールバックで審査に挑んだり、4次審査では西山智樹が本番前に髪を赤く染めてきたりと、分かりやすく気概が伝わってくるのも記憶に残る。また、4次審査の合宿中にはtimeleszが候補生たちにカレーを振る舞っており、彼らのお茶目な食レポからは素の表情が垣間見えた。 追加メンバー募集公開オーディション、しかもジュニアを経験していないメンバーが加入するかもしれないということで、配信開始直後は様々な意見が寄せられていた。しかし、徐々に候補生たちのキャラクターや努力を知ることで、その事実が受け入れられてきているような印象を受ける。今回のオーディションは視聴者投票制ではないため、視聴者の声が合否に直接影響を与えるわけではないが、視聴者が候補生のファンになることでさらに番組が盛り上がり、プロジェクトが面白くなってきたように感じる。来年の配信からはさらに絞られた精鋭たちがまた鎬を削るのだろう。
池田夏葉