【ソフトバンク】「選手」「子供」、そして「町」 近藤健介が自主トレを通して残す遺伝子
ソフトバンクの近藤健介外野手(31)が9日、鹿児島県徳之島天城町で行っている自主トレを公開した。 今回で8度目となる徳之島での自主トレ。近藤は自主トレを通して多くの〝場〟に己の遺伝子を残している。 1つ目はともに自主トレを行っている選手だ。オリックス・西川龍馬外野手(30)やロッテ・藤岡裕大内野手(31)ら自主トレメンバーたちは昨季パ・リーグMVPから多くの刺激を受けている。6度目の参加となった西川が「ああいう選手でもまだまだ向上心を持ってやっている。僕らはそれ以上に意識しないといけない」と語れば、阪神・渡辺諒内野手(29)も「(打席は)右左違うが、学ぶことは本当にたくさんある」と技術を吸収する姿勢をのぞかせた。 刺激を受けるのはプロだけではない。自主トレで練習をともにする面々の中には近藤の高校時代のつながりから派生し、独立リーグの選手も多く存在する。同リーグの選手からすれば超一流打者を間近で見られるまたとない機会。「みんな参加したがる」という声が上がるように若き人材の参考の場にもなっている。 2つ目は子供たち。近藤は今年から新たに配信アプリによる「自主トレライブ」を開始する。「(自分は)あまりそういうことするタイプじゃないと思っていたんですけど、相談をもらってすごくいいことだなって思った」と実施を決めた。「野球を始めるならやっぱり遊びからだと思う。素の練習を見てもらって『楽しそうだな』と思ってもらえるのが一番いい」と説明。子供たちにも己の姿勢を発信していく構えだ。 そして最後は「町」だ。この日、近藤は徳之島天城町の森田弘光町長(73)から感謝状を受領。1500万を実費で負担し、自身も自主トレで利用している町の室内練習場の芝を昨年12月に張り替えたことで同町から謝意を示された。 「環境もいいし、島の人たち全体で迎え入れてもらっている。年々、思いが強くなっている」(近藤) さまざまな場所で生きる「近藤の遺伝子」。球界屈指の打者は今後もソフトバンクのみならず各方面に向け、有形無形の影響を与え続けていく。
松岡直生