センバツ甲子園 大島、最後まで健闘 応援団から惜しみない拍手 /鹿児島
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)は大会第5日の23日、大島は明秀日立(茨城)と対戦し、0―8で敗れた。相手にリードを許しながらも最後まであきらめずに九回の好機を生むなど球場を沸かせたが、初戦突破はかなわなかった。スタンドを埋めた応援団から惜しみない拍手が送られた。【白川徹】 8点を追う九回、1死走者なしで打席に立った体岡(2年)は鋭い中前打を放ち出塁した。続く有馬(同)はここまで2安打。「つなぎたい」という一心で打席に立ち、相手の直球に反応した打球は右前に。大野(3年)も四球を選び、満塁の好機を迎えた。一塁側スタンドを埋めた大島応援団は割れんばかりの手拍子を響かせ、この日一番の盛り上がりを見せた。 主将の武田(同)は「最後にみんながつないでくれたチャンス。返そう。絶対打つ」と自らを奮い立たせた。直球に狙いを定めるが、打球は相手ショートに捕球され併殺で試合終了を迎えた。 試合は二回、守備の乱れなどから3点を先取され、四回は連続適時打でリードが広がった。最速で直球146キロの左腕・大野の球は狙い通りの低めにいかず「浮ついてしまった」が、あきらめない。ピンチに西田(同)は「落ち着け」と励ました。五回以降は実力を発揮して無得点に抑えたが、及ばなかった。 ◇島唄などで鼓舞 大島の応援団は、チームカラーの緑色をしたおそろいのジャンパー姿で選手を鼓舞した。 吹奏楽部は、田川海空(みそら)部長(3年)ら34人が参加。選手のリクエスト曲や奄美大島の島唄「稲すり節」や「イトゥ(仕事歌)」などを高らかに響かせた。ダンス部の14人も息の合ったチアリーディングでスタンドを盛り上げ、政村李玖部長(同)は「ナインと応援団の懸け橋になりたい」と笑顔を見せた。 スタンドでは大島OBの永井洋臣さん(74)=鹿児島市=も応援団の学ランに身を包んで観戦。1965年から2年務めた第17代応援団長で「当時は本土の鹿児島県大会に応援に行くことも経済的に難しく、ずっと心残りだった」と島伝統の手踊りで応援した。 試合が終わり、野球部保護者会長で西田(3年)の父哲さん(50)は「ご苦労さまと伝えたい。大舞台に連れて来てくれて、子どもたちに感謝したい」とねぎらった。 ◇地元もエール 大島の地元の鹿児島県奄美市では、観光交流施設の大型スクリーンで市民ら約140人が観戦した。チヂン(小太鼓)やメガホンを打ち鳴らして「頑張れ頑張れ大高(だいこう)」と応援。初戦敗退となったが、市民らは「よくやった。ありがとう」とたたえた。 今春、大島を卒業した野球部前主将の安田秀太郎さん(18)は「最後まで大高らしい粘り強いプレーを見ることができた。夏に甲子園で初勝利を目指してほしい」とエールを送った。【神田和明】