高田馬場に子連れの下見ツアー客が… 押し寄せる「中国人留学生」のリアル
インターナショナルスクールから欧米へ
実際、上海で話を訊くと、留学先の候補は世界に広がっていることがわかる。 40代の会社員Nさんの息子は、今年の6月に市内で中考(高校受験)に挑んだ。 「中考分流は息子にはすごいプレッシャーです。ただ失敗しても、中専(高等専門学校)から大専(短期大学)へ、という道もある。国内には国際学校(インターナショナルスクール)の高等部もある。その後、欧米留学へというコースです。国際学校の説明会に行ったのですが、数学と英語の入試のみで合否が決まるとのことで、のびのび育てたい派としては魅力的です。学費は高いですが……」 イギリスへの留学経験がある40歳の会社員Fさんはいう。 「私の世代でも小学校から英語の授業があって、中学、高校と大量の課題をこなした。だから、留学先に英語圏を選ぶのは普通だと思う。そのまま専門分野を学べるから。日本だと、専攻したい学科に入る前にゼロから日本語を学ばなければならない」
すでに日本でも“巻”ははじまっている
こうした意見はあるものの、今後、中国から日本への留学生は確実に増えていくと読む人は多い。中国経済の成長率が伸び悩むなか、子供を送り出す親たちの資金力に翳りがみえているからだ。少しでも学費が安い日本へ……という流れである。 すでに日本では、留学生同士間の競争が激しくなっているようだ。前出の美大をめざしているCさんは不安そうな表情でこう話す。 「私の志望する大学の学部は、今年、約60人の留学生が受験したそうなのですが、合格者はわずか2人だったと聞きました。私が受験する頃にはさらに中国人をはじめとする留学生の出願者が増えて難しくなるといわれています。日本でも、中国人留学生の間で“巻”ははじまっていると思う」 同級生のなかには、中国人向けの予備校を「ぬるく感じる」と辞め、日本人と同じ予備校へ移る強者も出てきているという。
萩原晶子/ライター デイリー新潮編集部
新潮社