43歳男「心は女なのに…」温泉施設で女湯に侵入し現行犯逮捕 性別を巡る公衆浴場のルールと多様性への課題
2023年11月、三重県桑名市の温泉施設で、女湯に侵入したとして男が逮捕されました。男は「心は女なのに、なぜいけないのか」と話したということです。性別と施設の利用について調べました。 【動画で見る】43歳男「心は女なのに…」温泉施設で女湯に侵入し現行犯逮捕 性別を巡る公衆浴場のルールと多様性への課題
■厚生労働省は「身体的特徴で判断」と通知
桑名市の温泉施設で2023年11月17日、客が女湯で体を洗っていた男を発見し、従業員に伝えて通報し、無職の43歳の男が建造物侵入の現行犯で逮捕されました。 調べに対し男は「心は女なのに、なぜ入ったらいけないのか全く理解できません」と話していたということです。 警察によりますと、この施設では受付で客に更衣室のロッカーのカギを渡す形式で、従業員の女性は「女性の格好をしていた」ため「女性」と判断し、女湯のカギを渡しました。
公衆浴場を管轄している厚生労働省では、生活衛生局の担当者によると「おおむね7歳以上の男女を混浴させない」と定めた指針があり、男女の区別については2023年6月、「身体的特徴で判断するもの」とする通知を出しています。 つまり「心や戸籍は関係なく」男性器があるなど、外見が男性の場合は男湯、外見が女性の場合は女湯に入るのが公衆浴場のルールで、ルールを破れば建造物侵入など罪に問われるということです。
事件が起きた温泉施設では、この通知にのっとった対応だったということになります。 この事件では受付で「服装などから女性と判断」し、女性用のロッカーキーを渡したということですが、愛知県温泉協会は「差別になってしまう懸念から、実際に男性ですか、女性ですかという確認は難しい」と話しています。 また、全国1200の温泉施設などが登録している日本温泉協会は「今回のような事例は今まで報告されていないが、対応ができるよう全国でガイドラインを設けるべき」としています。
今回の事件が起きた温泉施設でも、受付は口頭での確認は行っていなかったということです。
■個別施設や自治体が中心となり対応するところも
身体の性と心の性が一致していない「トランスジェンダー」も施設を利用しにくいということで、対応しているところもあります。 石川県能美(のみ)市の温泉旅館「まつさき」は、ホームページに「トランスジェンダーのお客さまへ」として「トランスジェンダーの方で大浴場などのご利用に抵抗がある方は、貸切露天風呂がございますのでご利用ください」と、貸切露天風呂を案内しています(1組50分で3300円)。 2022年からホームページに掲載しているということです。利用客に確認はしていないため、実際の利用者数は把握していないということですが、客も安心して利用、店側も質問しないで済みます。