ダイモン氏、トランプ次期政権下でM&A活発化-関税で交渉促進
(ブルームバーグ): 米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は14日、トランプ次期米大統領の関税の脅威が「人々を交渉の場につかせる」だろうと述べ、「賢明な方法」で行われることを望むと表明した。
ダイモン氏はペルーで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)CEOサミットで、「トランプ氏は貿易に反対しているわけではない。彼は米国にとって不公平なことが多いと考えており、その通りである例もある」と指摘。
「何かが不公平なら修正されるべきだ。われわれが他者を犠牲にして自らをより強化し始めれば報復があるだろう」と語った。
5日の米大統領選でトランプ氏が勝利した後、今週ペルーの首都リマではAPEC関連会合が開かれ、来週にはブラジルのリオデジャネイロで20カ国・地域(G20)首脳会議が開催される。一連の会合の出席者らは、トランプ次期政権の発足を見据え世界経済への潜在的影響を考慮している。
ダイモン氏が大統領選後に公の場に姿を見せたのは14日が初めて。同氏は選挙戦中、どちらの候補者も支持しないと明らかにしており、米最大の銀行のCEOとして、誰が大統領に就任しても協力していくと述べていた。
ダイモン氏らJPモルガン経営陣は先週、トランプ氏の勝利を祝福し、同行と新政権との連携を待ち望むとの考えを行員宛ての文書で示していた。
大手米銀の株価はトランプ氏勝利を受け大幅上昇し、JPモルガン株は選挙日翌日に12%近く値上がりし過去最高値を更新した。ただ、投資家の間では、トランプ次期政権の閣僚人事や来年1月の政権発足後の政策ロードマップが注目されるにつれ、選挙直後の高揚感はやや冷めつつある。
ダイモン氏はまた、規制で冷え込んでいたM&A(企業の合併・買収)活動について、トランプ氏の大統領選勝利を受けて企業が積極的に検討するようになるとの見方を示した。
同氏は多くの企業が買収や資本配分を「はるかに積極的に」評価するだろうと発言。多くのバンカーは何年も規制に悩まされ、与信が妨げられるケースが多かっただけに、誰に投票したかにかかわらず「彼らはまるで街で小躍りしているようだ」と述べた。