パリオリンピック帰り即レースの佐藤水菜が女子オールスター競輪で優勝 3日間連続1着、9車身差の圧勝に一同白旗
そして迎えた決勝。残り1周半となった第3コーナーで坂口楓華が最後尾7番手から仕掛けると、5番手にいた佐藤が反応し、一気にポジションを上げていく。残り1周を先頭で入ると、そこから他の選手の追随を許さずゴールまで駆け抜けた。 「1コーナーからすごく声援は聞こえました。自分でも調子いいなと思いながら、バックストレッチでもすごく声援が聞こえて、さらに加速できて。ゴール前のきついなって思ったところも声援があり、踏ん張りきることができました」 ファンの声が後押しになったと記者会見場で笑顔をのぞかせた。 【それぞれのオールスター】 2着はこちらもオリンピアンの太田りゆ。残り1周で佐藤の後ろにつき、「追い込みにいくタイミングは、自分ではバッチリだと思ったんですけど」と狙いどおりの動きだったが、その背中には届かなかった。プロデビュー直後から自転車競技に軸足を置いていたが、今後はガールズケイリンに絞って活動していく予定だ。 「仕掛けも下手だし、気持ちの上げ下げもあるので、ファンのみなさんにたくさん応援していただいて、盛り上げてもらいながら頑張りたいです」と前を見据えた。 3着は日野未来。「つき切れなかったです。ちぎれました(笑)。すごいトルクとスピードでした」と同期の佐藤の強さに白旗をあげた。ただそのスピードに対応できないと見ると、上がってきた太田の背後につくレース巧者ぶりを発揮しての3着は見事。初日のドリームレースで佐藤、太田のオリンピアンふたりに割って入る2着、2日目も3着と3日間を通じてすべて3着以内にまとめた。「成長を実感できました。公営競技を代表する選手になれたと思います。今はまた帰って練習しなきゃって気持ちです」と笑顔で手応えを口にした。
また8年連続ファン投票1位で、かねてから自転車競技の日本代表勢への対抗心を見せていた児玉碧衣は5着に終わった。「真後ろにサトミナ(佐藤水菜)がいたのが気になってしまいました。そこで自分が仕掛けたら、サトミナの展開になってしまうし、難しかった。打倒ナショチ(ナショナルチーム)と言っていましたが、おこがましいです」と悔しげな表情を見せた。 3日間のレースを終え、佐藤は今後について問われると、「(ナショナルチームでの)競技も、ガールズケイリンも、まだ何も考えていません。少しオフを挟むのでそこでゆっくり考えたいです。しっかり勝ち続けることは今後も大事にしていきます」と方向性を決めるのはこれからだとの考えを示した。 しかしすでに「佐藤一強時代の到来」という声も聞こえてくる。この真夏の祭典での勝ち方を見る限り、今後もガールズケイリンの絶対的な存在であり続けることだけは間違いないだろう。
加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro