ウルグアイ代表が本気になる理由
初練習ではボールを使ったアップがメインだった30分を過ぎ、4分の1ほどのコートでの6対6のミニゲームに入った段階から選手たちの歓声がピタリとやんだ。オフとオンの鮮やかな切り替えと彼らが浮かべる真剣な表情は、チーム全体に日本代表戦の大切さが伝わっている証でもある。 そして、球際での激しい接触も少なくなかったハードな実戦練習を30分ほどで切り上げると、選手たちはペットボトルの水を手にして次々とロッカールームへ消えていった。広報担当のマティアス・ファレル氏が、申し訳なさそうな表情を受かべながら近づいてくる。 「明日の公式練習後のプレスカンファレンスでしっかりと話すので、今日はどうかインタビューなしにしてほしい。選手たちは長旅で疲れているし、ヨーロッパとの時差ぼけも残っているので」 こうした措置も、選手たちを万全の心技体で日本戦へ臨ませたいという首脳陣の意思の表れなのだろう。 第1回と第4回のW杯を制しながら、ウルグアイ代表はその後の国際舞台で長く低迷した。40年ぶりのベスト4進出を果たした前回の南アフリカ大会は、ようやくつかんだ「強豪」復活への序章。だからこそ、ブラジル行きの切符を失うわけにはいかない。 追い詰められたウルグアイ代表は、まぎれもなく本気モードで臨んでくる。 迎え撃つザックジャパンにとっても、得るものが大きな一戦となる。FW柿谷曜一朗(セレッソ大阪)やFW豊田陽平(サガン鳥栖)ら、7月の東アジアカップで活躍した新顔を加えた攻撃陣がウルグアイ代表の堅守に風穴を開け、可能性をさらに膨らませることができるか。6試合連続で失点を許している守備陣がフォルラン&スアレスの強力コンビを封じ込め、自信を回復させることができるか。 アルベルト・ザッケローニ監督は、W杯本大会までの残り10か月間を「新たなステージ」と位置付けている。その初陣として、これ以上はない実力とモチベーションをウルグアイ代表は持ちあわせている。 (文責・藤江直人/論スポ)