「国家の恥」 英国で3000人以上死亡の薬害スキャンダル、政府が補償へ
英国でHIV(ヒト免疫不全ウイルス)やC型肝炎に汚染された血液製剤により3000人以上が死亡した薬害スキャンダルを巡り、政府は5月21日、補償金を支払う機関を設立すると発表した。同国では1970―80年代に、国民保健サービス(NHS)の輸血により3万人以上が肝炎とHIVに感染。血液の多くは囚人などリスクの高い集団からの献血であり、国と医師を厳しく非難する報告書が公表されていた。 英国のグレン内閣府担当相 「補償を管理する独立機関として、感染血液補償機構を設立する」 英政府は21日、汚染された血液製剤の被害者に補償金を支払う機関の設立を発表。計画が立ち上がる前でも、多くの被害者が約4062万円以上の暫定的な補助金を受け取る資格があると付け加えた。 この薬害問題では3000人以上が死亡。前日には、国と医師を非難する報告書が提出されていた。 グレン内閣府担当相 「HIVまたはC型肝炎に汚染された、国民保健サービス(NHS)の血液や血液製剤によって直接・間接的に感染した場合、さらにB型肝炎に汚染された血液により慢性感染症を発症した場合、この制度の下で補償を請求する資格がある」 被害者とその家族は19日、ロンドンの議事堂前で追悼集会。 1970―80年代に、NHSの輸血サービスにより3万人以上が肝炎とHIVに感染。血液の多くは、囚人などリスクの高い集団からの献血だった。 スナク首相 「今日は、英国の恥ずべき日だ」 スナク首相は20日、「ひどい不公正」に対し「はっきりと、心から謝罪」した。 グレン内閣府担当相は遺族には補償金を支払うと説明。被害者を看病したパートナーや両親も補償申請が可能だという。 補償の予算額は示されなかったが、報道では2兆円以上とみられる。