自覚症状なしで人工透析に… 「寿命を決める臓器」腎臓を守るには1日に何歩歩けばいいのか
熱中症が腎臓をむしばむ
最後に、これからの季節に向けて特に気を付けてほしいことを説明したいと思います。 年々夏の暑さは増していて、熱中症が社会問題化していますが、実は熱中症は腎臓にも悪影響を与える危険性があります。 熱中症になって脱水症状に陥ると、血液が濃縮し血圧も低下して血流が滞り、腎臓に負担がかかって急性腎障害(AKI)を起こすことがあります。その結果、数時間から数日間で急激に腎機能が低下して老廃物の排泄ができなくなり、ひどければ命に関わることもあります。もともとCKDではなかった人でも、AKIになると腎機能低下の後遺症が出る場合もあるのです。 命を落とすまでには至らず熱中症から回復し、元気になったとしても、「寿命を決める臓器」である腎臓をむしばんでしまっていた――。そんな事態にならないためにも、暑さが増すこれからの季節、熱中症対策は極めて重要です。 上月正博(こうづきまさひろ) 東北大学名誉教授。1956年生まれ。東北大学医学部卒業。腎臓専門医。東北大学大学院内部障害学分野教授、同大病院リハビリテーション部長等を経て現職に。日本腎臓リハビリテーション学会理事長、国際腎臓リハビリテーション学会理事長などを歴任。2022年には日本腎臓財団功労賞を受賞した腎臓病学の第一人者。『腎機能が見事に強まる生き方大全』等、著書・監修書が多数ある。 「週刊新潮」2024年6月20日号 掲載
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