米コインベース、カナダへの拡大は世界の動きを先取り
アメリカを拠点とする暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)は昨年3月、国境の北に事業を拡大し、カナダに看板を掲げた。 この動きは、アメリカ最大の暗号資産取引所が国際的な存在感を高めようとする取り組みの一環であり、海外での課題とチャンスを示すものとなる可能性もある。 コインベース・カナダのカントリーディレクター、ルーカス・マシソン(Lucas Matheson)氏は「これはスポット市場の自然な延長であり、エコシステムにとって、効率的で信頼できるデジタル資産を使った製品やサービスを導入するチャンスだ」とCoinDeskに語った。 多くの点で、コインベースがカナダで行っていることは、アメリカのみならず、世界での動きを先取りしているかもしれない。
規制の明確さ
特に、米証券取引委員会(SEC)が暗号資産市場の成長を制限し、暗号資産エコシステムをより広範な経済から切り離そうとしていることを考慮すると、カナダは規制の明確さという点で多くの地域よりも先を行っているとマシソン氏は語る。 しかし、カナダの規制当局は、より合理化されている一方で、より保守的であることも間違いない。 「我々は、規制当局が世界標準となり得るフレームワークの構築に取り組んでいることを目の当たりにできる、かなり恵まれた環境にある」 コインベースは、取引所がカナダ政府に登録することを義務付ける新しいタイプのガイドライン「制限付きディーラー登録」を申請中だ。 コインベースの財務上の苦境を考えると、これは特に重要だ。コインベースは近年、プライムブローカレッジ部門の導入、レイヤー2ブロックチェーンのBase、アメリカ国内の多くのビットコインETF提供企業向けも含めたステーキングおよびカストディサービスなど、収益源を大幅に多様化することに成功しているが、その利益の大部分は依然として取引手数料だ。 言い換えれば、コインベースは、おおむね予測不可能な暗号資産の価格サイクル(暗号資産が高騰しているときは人々を引きつけ、取引高が減少したときはスリム化を余儀なくさせる)の外側で成功できる新しいビジネスを開発できない限り、永遠に市場原理の奴隷となる。そのため、カナダでの動きは、他の国で何が起こるかを示すかもしれない。 「カナダの規制原則は、企業が新しいプロダクトやサービスを導入することを可能にしている」とマシソン氏は言う。特にコインベースは永久先物などのデリバティブ商品をカナダで発売することを検討しており、それを実現するために政策をアップデートすることについて、政治家やオンタリオ証券委員会(OSC)のような規制当局と対話している。