公取委、「ホロライブ」運営のカバー社に下請法違反で勧告 原因は「事業急拡大で抜け漏れ」説明
公正取引委員会は25日、VTuberプロダクション「ホロライブ」などを展開するカバー株式会社に対し、下請代金支払遅延等防止法違反で勧告を行った。カバー側も声明を発表し、コンプライアンス強化と再発防止に務める意向を示している。 【画像】下請法違反として勧告された対応の例(公取委資料)とカバー側の声明(カバー社資料) 調査によると、カバー社は2022年4月から2023年12月にかけて、VTuber動画制作用のイラストや2D・3Dモデルを制作委託した下請事業者23名に対し、合計243回にわたり不当な無償でのやり直しを要求していたという。具体的には、発注時の仕様書等には記載のない修正を要求し、検査期間を超過した後にやり直しを指示するなどの行為が確認された。 また、支払遅延として、2022年4月に委託した動画用2Dモデルの制作において、納品から619日後の2023年12月27日まで下請代金が支払われなかったケースもあった。別の事例では、2022年7月から2024年2月にかけて、下請事業者29名に対し合計約115万円の支払遅延利息が発生する事態も生じるなど、複数の件が指摘されている。
カバー側「事業が急拡大し取引件数が増大した」当時の状況を説明
本件に関して、同日カバー社も声明を公表し、「当時、下請法に違反する状況となってしまっていた背景といたしましては、当社の事業が急拡大し取引件数が増大したのに対し、お取引先様の方々とのやり取りに抜け漏れや遅延が生じてしまっていたこと、及び社内体制の構築や社内研修が不十分であったことが原因」と説明した。 続けて「従業員の採用をはじめ、取引フローの見直しを進めるとともに、社内研修における社内周知等、社内体制の刷新を進め、各所で改善が進んでおります」と改善に向けた動きを行っていることも伝えている。 公取委は同社に対し、無償やり直しに相当する費用の支払いや、再発防止のための社内体制整備、下請法遵守のための取締役会での決議などを求める勧告を行った。また支払遅延については、既に遅延利息が支払われていることから、今後の改善を求める指導を併せて実施したとしている。
編集部 経済・社会担当