ECB、利下げペースで柔軟な姿勢維持すべきだ-チーフエコノミスト
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストを務めるレーン理事は18日、世界経済に依然として残るリスクがインフレ見通しを変化させる可能性があるため、利下げのペースについては柔軟な姿勢を維持すべきだとの見解を示した。
賃金上昇、企業利益に加え、地政学的な緊張はエネルギー価格や輸送コストを押し上げ、新たな物価上昇圧力となる可能性があるとレーン氏は述べた。
一方で、信頼感の低迷が長引けばインフレ率は低下する可能性があり、貿易摩擦の悪化は見通しを立てることをより困難にするだろうと指摘した。
レーン氏はMNIが主催したイベントで「不確実性が高まっている現在の環境においては、会合ごとに機敏に対応し、特定の金利見通しに事前にコミットしないことが賢明だ」と語った。
「リスク管理の観点では、インフレ見通しや経済の勢いに上振れショックが生じた場合には、金融緩和を12月の予測に織り込まれた見通しよりもゆっくりと進めることができる。下振れショックが生じた場合には、より迅速に進めることができる」と説明した。
今年4回目となる12日の0.25ポイント利下げの後、ECB当局者は一様に、さらなる利下げを示唆した。ほとんどの当局者は、経済活動を抑制も刺激もしない中立的な水準まで金利を引き下げる意向であることを示唆した。
しかし、中立金利が具体的にどの水準であるかについては意見が分かれている。シュナーベルECB理事は、現行3%の中銀預金金利がすでにその水準に近づいていると主張。ビルロワドガロー・フランス中銀総裁のように、まだ緩和の余地が十分にあると考える当局者もいる。
また、勢いを欠くユーロ圏経済を活性化させるために中立金利を下回るところまで利下げする必要があるかどうかについても、意見は分かれている。
レーン氏は、域内インフレは依然として高いものの「サービス業のインフレ動向が落ち着き、人件費の圧力が緩和するにつれて、低下するはずだ」と述べた。