北朝鮮兵に死者、ウクライナ軍との戦闘で 米国防総省が発表
米国防総省は16日、北朝鮮の兵士が、ロシア西部クルスク州の国境地帯でウクライナ軍と戦って死亡したと発表した。 北朝鮮がロシアの戦力強化のために兵士約1万人を派遣したことが10月に明らかになってから、死者が報告されたのは初めて。 米国防総省のパット・ライダー報道官は、北朝鮮兵が「クルスクでロシア軍とともに戦闘に関わり」、「死傷した」とみられると述べた。人数は示さず、「1週間ちょっと前」から戦闘状態にあったとした。 また、北朝鮮兵は歩兵として使われているようだと説明。今のところクルスク州だけに派遣されている様子で、ウクライナには入っていないとの見方を示した。 ウクライナ国防省情報総局(GUR)も、先週末の戦闘で少なくとも30人の北朝鮮兵が死傷したと発表した。クルスク州のプレホヴォ、ヴォロブジャ、マルティノフカの各集落で死傷したという。 BBCはこうした発表が正確か、検証できていない。 北朝鮮兵らは戦闘経験がなく、ロシアで数週間訓練を受けてから、支援任務に就いたとみられている。 ■ゼレンスキー大統領も映像を投稿 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は14日、ロシアがクルスク州で「かなりの数」を攻撃で使い出したと述べた。ウクライナは8月に同州を奇襲侵攻して以来、一部で占領を続けている。 ゼレンスキー氏はまた、木の陰に数人が隠れている映像を、通信アプリのテレグラムに投稿。映っているのは、ウクライナの陣地への攻撃に加わったばかりの北朝鮮兵だとした。 さらに、北朝鮮兵の存在を隠そうとするロシア兵が死亡した兵士の顔をたき火で焼いている様子だとする映像も投稿。「ウクライナの国防軍と情報機関は、ロシア軍部隊が実際に被った損害の全容を明らかにしようとしている。それには北朝鮮人も含まれる」とした。 そのうえで、「北朝鮮人がこの戦争で死ぬ理由は一つもない」とした。 北朝鮮兵の死亡についてBBCがクレムリン(ロシア大統領府)に問い合わせたところ、ロシア国防省が「ノーコメント」だと回答した。 北朝鮮兵が死亡した様子との情報を受け、欧州連合(EU)、イギリス、アメリカ、オーストラリア、韓国などは、北朝鮮の関与について「危険な拡大だ。(中略)ヨーロッパおよびインド太平洋地域の安全保障に深刻な影響をもたらす」とした。 (英語記事 North Korean troops killed fighting Ukraine, says US)
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