武道ツーリズムは「新たな切り口」 清水希容さんが仁和寺で演武
空手や柔道など訪日外国人客(インバウンド)から人気を集める日本の武道と観光を融合させる「武道ツーリズム」を巡り、世界遺産・仁和寺(京都市右京区)で啓発イベントがあった。スポーツ庁の室伏広治長官と文化庁の都倉俊一長官らがトークセッションを行い、武道ツーリズムの発展に向け、協力を誓った。 【写真】対談する都倉俊一文化庁長官、室伏広治スポーツ庁長官、空手家の清水希容さん イベントは武道と関係の深い寺院を舞台に、スポーツ庁が推進する武道ツーリズムを広く周知するのが狙い。対談に先駆けて、東京五輪の空手女子形で銀メダルを獲得した清水希容さんが演武を披露した。勇ましい掛け声とともに瞬時に繰り出される技に観客らは魅了された。 トークセッションには清水さんも参加。都倉長官は「武道は〝道〟であり、高い精神性を持ち修行するもの。そういう意味では芸術と同じだ」と指摘。室伏長官も「武道を軸に地域の活性化や交流人口の増加が期待できる。さらに経済や健康にも役立つ」と応じた。 またインバウンドは日本の文化財に触れながら、和食などの「食べる体験」にも魅力を感じていると分析。都倉長官は「武道ツーリズムは新しい切り口になる。文化庁が率先してこうした活動を応援していきたい」と述べた。 競技生活を引退している清水さんは「演武を通して武道に触れてもらい、魅力を世界に発信して日本の良さを感じてもらえれば」と抱負を語った。 武道ツーリズムは、日本の伝統的な武道である柔道や空手、合気道などをベースに周辺の名所や寺社などを巡ったり、食事を楽しんだりする観光モデル。京都市中心部で課題となっているオーバーツーリズム(観光公害)の解消にも期待を集めている。(田中幸美)