ドルの影響力が低下している。その支配を脅かす4つの力を米シンクタンクが指摘(海外)
ドルの優位性は将来、重要な課題に直面するとブルッキングス研究所の研究者が述べた。 同研究所は、ドルの魅力を低減させかねない4つの要因について指摘した。 【全画像をみる】ドルの影響力が低下している。その支配を脅かす4つの力を米シンクタンクが指摘 世界の外貨準備金におけるドルの割合は、過去数十年間で徐々に減少している。 ブルッキングス研究所(Brookings Institution)の研究者によると、金融市場においてドルが支配的地位にある状態には、多くの課題がある。 最近の報告書で、このシンクタンクは、過去数十年間にわたり米ドルの使用が着実に減少しており、世界の金融市場における米ドルの地位が変化していると指摘した。国際通貨基金(IMF)の試算によると、世界の中央銀行の準備金で依然としてドルは多いが、ドルの割合は1999年の71%から2024年は59%に減少した。 一方、これまでなかった通貨の割合がわずかに高まっている。IMFのデータによると、オーストラリアドル、スイスフラン、中国元などが2024年初頭の全中央銀行の準備金のうち11%を占め、1999年から2%増加した。 この傾向によって、金融市場でドルがトップの地位から落ちかねないという懸念が、一部の投資家の間で広がっている。 大半の専門家はすぐに起こることはないとしているが、ブルッキングス研究所はドル優位の状態が重要な課題に直面していると述べ、特に4つの要因について指摘している。
1. アメリカの制裁
2022年にロシアがウクライナに侵攻を開始してから、アメリカはロシアとその同盟国に制裁を行ってきた。これによりロシアやBRICSでは脱ドル化の動きが活発になり、西欧諸国の貿易制裁に対する反応として、ドル離れの検討について示唆してきた。 特にロシアは同国の経済での脱ドル化への措置を強め、中国元-ロシアルーブルの為替レートを採用し、ドルに競合する通貨を提案し、ドルに依存しない代替決済プラットフォーム構築の指揮を執っていると報じられている。 先日、アメリカ財務省から2度目の制裁を受けた中国でも、ドル離れの兆候が見られ、代替通貨として中国元を推している。 「アメリカが制裁を気まぐれに実施し、一方的に行動し、経済的な国家運営の原則を確立できない場合、ドルは王座を奪われる可能性がある」と、ブルッキングス研究所の研究者はジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官の発言を引用して述べた。