ロシア兵3人、味方のふりしたウクライナ兵にだまされ捕虜に 一部始終隠し撮り
ウクライナ国家親衛隊の第12特務旅団アゾフ、通称「アゾフ旅団」はこの夏、ウクライナ東部ルハンシク州クレミンナの郊外に広がるクレミンナの森の一区画をロシア軍の支配から解放した。 アゾフ旅団はその際、だいたいにおいてはいつものように、迅速で激しい歩兵突撃という戦い方をした。ただ、ある時、数人のチームでロシア兵を装い、ロシア兵3人をだまし、戦わずして投降させた。そして、戦場のこのきわどい“ドッキリ”の一部始終を動画で撮影していた。 捕虜になったロシア兵たち自身、アゾフ旅団員らの手管に舌を巻いている。ひとりは「5つ星(最高)だよ」と評価し、別の兵士は「自分らはまんまと捕らえられてしまいました」と苦笑している。 2人は第153戦車連隊、1人は第69掩護旅団の所属とされる3人のロシア兵は、戦闘地域の前縁と思われる場所にある塹壕を守っていた。 指揮官は食料を探しに出て行ったきり戻ってこず、塹壕に残っていた3人は指揮官は負傷したのだろうと思っていた。彼らは無線機を持っていなかった。もっとも、たとえフル充電された無線機があったとしても、ウクライナ側のジャミング(電波妨害)のために通信は困難だった。 3人は腹が空き、のども渇いていた。第153戦車連隊所属のライフル兵、アベリン・バレリー・バシリエビッチ(52)は、やかんを持って塹壕の外に出て、水を汲みに行った。その途中で、3人の兵士と出くわした。3人はロシア語を話し、おそらく服装もロシア軍風だったから、味方だと思い込んだ。 彼ら、つまりアゾフ旅団員たちはロシア軍の空挺偵察兵になりすまし、孤立した3人の居場所を突き止めるために本部から派遣されてきたのだと説明した。「なぜお前らを探すためにわざわざここまで来ないといけないんだ。無駄なことをさせやがって」などと苛立ったふりもした。 残り2人のロシア兵も丸腰で塹壕から出てきて合流した。アゾフ旅団員たちはロシア兵3人と世間話をしたり、いなくなった指揮官をけなしたりし、指揮官はお前ら3人のことを「アホ」と呼んでいたぞなどと作り話もした。それから、3人にチョコバーのスニッカーズを1本与え、3人はそれを3つに分けて空腹をしのいだ。