「大型免許」は必要な「深視力」検査ってなに? 似たような名前の「大型特殊免許」に不要なワケとは
物体を立体的に捉えることの重要さ
運転免許を取得する際に受ける視力検査では、視力のみ測定する免許と深視力まで測定する免許があります。さまざまな免許があるなかで、大きい車両を運転するにもかかわらず、深視力を測定する必要のない免許が大型特殊免許です。なぜ大型自動車免許では深視力を測定するのに、大型特殊免許では深視力を測定しないのでしょうか。この記事では、なぜ大型特殊免許を取得する際に深視力を測定する必要がないのか解説します。 【写真】言われてみればよく見かけるかも!? トラックがタイヤを浮かせている理由とは
特殊車両は公道を走行することを目的とした車両ではない
大型特殊自動車を含む特殊車両は、文字どおり特殊な用途に使われる自動車です。たとえば、ショベルローダやタイヤローダ、除雪自動車などが大型特殊自動車となります。 これらの車両は、大型自動車や中型自動車のように、公道走行することを主な目的とした車両ではありません。また、大型特殊自動車で作業をする際には、作業免許が必要です。一般的な自動車とは異なる技術が求められることから、公道走行時に必要となる車両の大きさや遠近感など、物事を立体的に捉えるための深視力の測定がないと考えられます。 さらに、大型特殊免許の付帯免許を見てみると、小型特殊自動車及び一般原動機付自転車となっています。このことからも、大型特殊免許では公道を走行できる自動車(普通車や大型車など)を運転することができず、一般的なクルマとは異なる乗り物であるといえるでしょう。 ちなみに、大型特殊免許は、大型特殊自動車で公道を走行する際に必要な免許です。また、特殊車両で公道を走行する際は、免許とは別に通行するための許可が必要となります。特殊車両で公道を走行するためには、免許や許可が必要となるため、特殊車両で公道を走行するのは意外にも大変だといえるでしょう。
深視力は物体を立体的に捉えるために必要
大型自動車や中型自動車などの免許を取得する際に必要となる深視力は、物体を立体的に捉えたり距離感を正確に認識したりするために必要な力です。 この深視力は、三桿法(さんかんほう)の奥行知覚検査器によって測定します。この検査器は、横並びの3本の棒のうち、中央の1本だけが前後に動く仕組みです。深視力の検査では、2.5mの距離で3回検査し、その平均誤差が2cm以下であれば合格となります。 この検査器の棒の変化はわずかとなっているため、勘でボタンを押したらオッケーだったという方も少なくないでしょう。しかし、微妙な変化に気づくことができれば、正確な位置で棒の動きを止めることができます。
公道を走行するクルマの免許に深視力を義務付けたほうがよい
公道走行では物事を立体的に捉えることが重要です。つまり、深視力は安全運転に必要な力といえるでしょう。 たとえば、相手のクルマと自分のクルマまでの距離感や、障害物までの距離を正確に捉えることができれば、どのような運転行動を取ればよいのか予測しやすくなります。このようなことからも、公道走行することを主とする免許を取得するときは、深視力の測定を義務付けたほうがよいといえるのではないでしょうか。
齊藤優太