ウクライナ、英製巡航ミサイルストームシャドーを露領内へ初使用 米に続き英も使用容認か
【ロンドン=黒瀬悦成】ロシアに侵略されたウクライナは20日、英国から供与された巡航ミサイル「ストームシャドー」(射程250キロ以上)でロシア領内の標的に対して初めて攻撃を実施した。英メディアが一斉に報じた。バイデン米政権がウクライナに対して米国製の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」の露領内への使用制限を解除したのに続き、スターマー英政権も使用容認に転じたとみられる。 英メディアによると、ストームシャドーは露西部クルスク州の標的に対して使用された。ロシア系メディアなどの情報を総合すると12~14発が同州に着弾したとみられる。 英国はウクライナに数百発のストームシャドーを供与し、このうち一部がロシアに一方的に併合されたクリミア半島の露軍施設に対して使用されてきた。 英国はウクライナに供与した兵器のうち、戦車や対戦車ミサイルを露領内で使用するのを容認済みで、ウクライナからストームシャドーについても使用制限の解除を求められていた。 ラミー英外相は9月、ウクライナがストームシャドーを露領内の攻撃に使用するのを早期に容認する姿勢を示したが、戦闘のエスカレートを懸念するバイデン政権は、ストームシャドーによる露領内への攻撃に必要な軍事目標の位置データなどの提供に応じなかったことから、ウクライナが使用できずにいた。 ロシアは、8月にウクライナが制圧したクルスク州の一部やウクライナ東部地域に対する攻勢を強めている。米英による長距離攻撃兵器の露領内への使用容認で戦局が一気にウクライナ優勢に傾く公算は小さいものの、ウクライナがクルスク州の制圧地域や東部の戦線を維持するのに効果を発揮するとみられている。