断熱等級6以上が標準装備の”スーパー工務店”に脚光。「時代の2歩先」モットーに30年前から樹脂製サッシやペアガラス、気密測定、全館暖房も採用の超高性能な家づくり 埼玉「夢・建築工房」
日本の家づくりはようやく「スタートライン」に立ったところ
高性能住宅は、単に高性能な建材や設備を使うだけでなく、高い設計力や施工技術を要します。同社では、高い品質を維持・管理するため社内に住宅管理部を置き、同社専属の8名の大工のみが施工しているそうです。 「大工さんを増やすときは、しばらく他の大工さんと一緒に現場に入ってもらいます。先進的な家づくりをしている他国に学びに行くこともありますし、うちみたいに他とは違うことをやっている工務店の現場にお邪魔して学ばせていただくこともあります。モットーは『2歩先を行く』こと。他と同じことをしていないで、常にバカなことをやっていきたいと思っています」 建築業界には、以前から他社と切磋琢磨し、学び・学ばれる文化があるようです。しかし、そのような交流が見られるのは一部であり、日本の建築技術は決して高いとはいえないと岸野さんは言います。
「2025年からすべての新築住宅に省エネ基準適合が義務付けられますが、いくら机上で高性能な住宅を設計しても、それが実現できるかどうかは現場の意識や技術次第です。また、たとえ高気密・高断熱であっても、空調や換気の入れ方、使い方によってはすごく寒い家になってしまうこともあります。断熱材の入れ方によっては、数年でカビが見られるようになってしまうこともあるでしょう」 省エネ基準適合義務化に先駆け、2024年4月には「省エネ性能表示制度」がスタートしました。これにより、消費者の意識も徐々に高まっていくことが予想されます。岸野さんによれば、日本の家づくりはようやくスタートラインに立ったところ。高品質の家をつくるには知識や技術が求められますが、それ以前に「住宅の性能を高めよう」という意識が必要だといいます。 「知識や技術の差は、わずかなものだと思います。やろうとしなければ、できるようにはなりません。とはいえ、北海道、東北、関東圏……と徐々に施工技術の高まりは南下してきていて、近年は近畿圏で盛り上がりを見せています。まだまだ高気密・高断熱の施工がしっかりできる職人さんは少ないですが、これから徐々に増えていくことに期待したいですね」