代理署名問題や米兵暴行事件など激動の1995年を演劇に 家族を通し沖縄を描く 3月1~6日、那覇市で上演
沖縄文化を取り入れた演劇などを制作しているエーシーオー沖縄と、作品をプロデュースする名取事務所(東京)が共同制作する演劇「カタブイ、1995」が3月1~6日、那覇市のひめゆりピースホールで上演される。沖縄の日本復帰50年企画として2022年に上演された「カタブイ、1972」に続く第2弾。脚本・演出は前回に続き演出家の内藤裕子(演劇集団 円)で、今回が初上演となる。(学芸部・屋良朝輝) 前作の「カタブイ、1972」は第10回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞や第26回鶴屋南北戯曲賞を受賞した。 今作の舞台は、「1972」に登場した反戦地主だった父が死去し、娘(新井純)と孫(馬渡亜樹)、ひ孫(宮城はるの)の女性3人が暮らす石嶺家。そこへ、父に世話になった元国会議員秘書(髙井康行)、軍用地主(花城清長)、那覇防衛施設局職員(稀乃)が登場。軍用地の代理署名問題や米兵暴行事件などで揺れた激動の1995年を、一つの家族の姿を通して描き出す。 内藤は「当時は本土でもすごい熱量で報じられていたが、いつの間にか見えなくなり、沖縄への関心も低くなっていった」と振り返る。「困っている人、苦しんでいる人がいるにもかかわらず、インターネット上では冷たい言葉が沖縄に投げ付けられ、『防衛のためなら仕方ないよね』という空気さえある」と現状を見る。「誰かの問題ではなく、自分の問題として見てもらえたら」と話した。 開演は3月1日午後5時、2日は同2時と7時、3~6日は同2時。入場料は一般2800円、25歳以下2千円など。問い合わせはエーシーオー沖縄、電話098(943)1357。 15~18日は、東京・下北沢小劇場B1でも上演される。 来年には戦後80年企画として「カタブイ、2025」も予定している。