新球団「くふうハヤテ」を指揮する元近鉄の守護神・赤堀元之がつかんだ成長の手ごたえ
2週間後に迫った1軍開幕戦で先発予定の宮城にとって、この試合は大事な調整試合だった。ハヤテ打線は宮城に5回7奪三振、散発2安打で零封と格の違いを見せつけられ、試合も1対9で惨敗した。 開幕戦について赤堀に聞いた。 「まずは、こんなもんだろうなと受け止めました。1点取れて良かったと思いましたし、むしろ僕の中では、選手たちはよく頑張ったんちゃうかなと。急に良くなるわけではないですし、選手もどうにかかき集めて、しかもみな初めての経験ですから、どこまで戦えるのか、まったくわからない未知の世界でしたからね。 当初は3試合して1回は勝ちたいと話していました。3回に1回はしっかりと良い内容の試合をして勝ちたい、と。(シーズン通して)40は勝ちたい。雨などで流れて、おそらく120試合程度になるので、最低でも40勝80敗ぐらいの成績は残したいと考えていました」 3試合に1回勝利し、シーズン通して40勝以上――。 現実は想定以上に厳しかった。翌日の第2戦も4対10で連敗。その後も大量失点での敗戦が続き、6戦目のソフトバンク戦では、実に15失点という屈辱的とも言える惨敗を喫した。開幕1週間で0勝5敗1分。しかも負け試合はすべて5点差以上引き離されての大敗だった。 「投手が勝負して打たれて負けることは仕方ない。でも開幕当初は、四球で自滅した試合が目立ちました。それは負けた投手にとってなんのプラスにもならない。やっぱり投手はストライクを投げられるか。それができなければ上(NPB12球団)には行けない。 いろいろな方から『なぜ打たれているのに交代させないのか』とか言われたりもしましたが、打たれようがどうしようが、現実、交代投手がいないので我慢して続投するしかない。何より、成長するためには投手自身も辛抱して投げなきゃいかんだろ、ということも教えていかなければいけないと考えています」 ■「わくわくするような野球」を少しずつ実現 赤堀は開幕前、「投手を中心に守り勝つ」という堅実な野球を目指し、辛抱強く選手を起用すると腹を括った。とはいえ、さすがにこれだけ勝利が遠ければ、采配や起用に悩み、精神的にも堪えたのではないか。赤堀に聞くと、笑顔で意外な答えを返してきた。