寄付だけで調査報道できるか 元朝日記者が手がけるワセダクロニクルの挑戦
寄付だけで活動するからには「珠玉の一発を出し続けたい」
──先日、メディアに紹介されてからクラウドファンディングも集まっている。寄付モデルに手応えを感じているか 最初は徐々に金額が増えていたが、紹介されたのは非常に大きかった。手応えは感じるけれど、ずっと継続的にやっていくためにはまだ道半ばだと思う。 ──メディアとして認知されるためにはコンテンツのボリュームも必要では 寄付という性質は課金モデルでも広告モデルでもない。ページビューはあればいいに決まっているんですが、それを稼ぎたいためにコラムを載せたり、手軽にできるものをいっぱいやったりするなら広告モデルや課金モデルと一緒。 寄付は自分がお金を出さなくても無料で見られるのに出してくれる。そこには何らかの応援の気持ちとか、社会的に為になるから貢献しようと思ってやってくれているわけですから。みんなができないことをしないと寄付モデルとしてはやっていけないんじゃないかと思う。定期的に珠玉の一発を出していくのが一番いい。そこが差別化ではないかと思う。 ──ピューリッツァー賞を狙っているか 不正とか圧政、強いもの、多数に囲まれて困っている人、犠牲者が救われるようなことが一番。賞がとれたらうれしいがそれが一番ではない。すごく困っている人がいて、このまま放っておけばそういう人が増え続けるかもしれないのに対し、警告を出すということが重要。そこを見失って有名になるんだ、大きくなるんだとかはあまり意味がない。
■渡辺周(わたなべ・まこと) 1974年神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本テレビ入社後に2000年から朝日新聞記者。特別報道部などで調査報道を担当する。ワセダクロニクルの立ち上げに伴い朝日新聞社を2016年3月に退社