【単独インタビュー】斎藤元彦・前兵庫県知事が自身の資質を語る「私は地位に固執するタイプではない」
通常の「厳しく言う」レベルで、これほどパワハラ証言が続出するだろうか。職員の声を受け止め、わが身を省みる姿勢に欠けるのではないか。県職員や県議からは「コミュニケーション不足」「感謝の気持ちが見えない」という人物評をしばしば聞く。再出馬会見では「器用に人付き合いできるタイプではない」と自己評価を語っていたが、それで信頼回復できるのか。 「もともと群れるタイプじゃないんです。学生時代から基本的に一匹狼で、特定の人とグループを作ったりすることはなかった。政治の世界ではお世話になった人との付き合いがすごく大事ですが、私はいろんな人と満遍なく公平に付き合うタイプ。業界団体などからすれば、もっと自分たちの声を聞いてほしいという思いはあったかもしれません。 ただ知事というのは、県民全体を見る立場。そういう私のスタンスと、求められる知事像が食い違っていたのかもしれない」 支援者との関係で言えば、後援会長を務めた尾山基氏(アシックス・シニアアドバイザー、神戸商工会議所副会頭)が9月に辞任するなど、歴代知事と関係良好だった地元経済界からも厳しい声が相次いだ。 「経済界との会合にも可能な限り出席してきたつもりです。ただ、私は就任まだ3年で、最初の2年はコロナがあった。20年務められた井戸知事時代と比べ、『なかなか会ってくれない』と言われるのは、これはもう仕方がないと思います」 ■ 四人組には「感謝」、元県民局長のことは「尊敬」 庁内ガバナンスにおいては、片山安孝元副知事ら、いわゆる「四人組」を重用し、彼らに権限が集中しすぎたという批判が強い。人材登用や組織体制に誤りはなかったか。 「20年ぶりの知事交代で、私には兵庫県庁の勤務経験もないので、新県政推進室を立ち上げ、組織全体との間を取り持っていただきました。行政は縦割りだから、複数部局にまたがる施策は調整が必要です。その横串を通す仕事を片山さんたちにお願いし、一生懸命やっていただいたことには感謝しています。 特定の人を重用する意識はなく、仕事をする中で自然とそうなった感じです。外から見れば、そう(重用と)言われるのかもしれませんが…。ただ政策としては若い世代の応援とか、評価をいただいているので、パフォーマンスをしっかり発揮できたと思っています」