ロシア西部クルスク州に展開する露軍の戦車。露国防省が８日に公開した＝ＡＰ

　タス通信によると、ロシア軍幹部は１１日、ウクライナ軍が越境攻撃を続けているロシア西部クルスク州で「１０の集落」をウクライナから奪還し、反転攻勢を始めたと主張した。８月上旬に始まったウクライナによる越境攻撃に対し、ロシアが本格的な領土奪還に動き出した可能性がある。 【表】一目でわかる…ロシアの戦力はウクライナを圧倒している

　集落を掌握するため、ロシアが占領するウクライナ南部ザポリージャ州の露軍部隊の一部が増援に回ったと報じられている。

　これに関し、米政策研究機関「戦争研究所」は１１日、露側が主張する通りの情報は確認できないとしつつも、映像などの分析から、ウクライナ軍が制圧した地域の北西部分で露軍の前進が確認されたと発表した。

　同研究所は、露軍が戦車や装甲車を投入しているとみている。ロシア領に入り込んだウクライナの越境部隊の分断を狙っている可能性があると指摘した。

　ウクライナ軍には越境攻撃で、露軍部隊を分散させる狙いのほか、ロシア側の領土を確保して将来的な停戦交渉で「取引材料」とする思惑が指摘される。ウクライナ軍はこれまでにクルスク州で約１３００平方キロ・メートル、約１００の集落を制圧したと主張している。