【BCクラシック】日本馬初制覇へ藤田晋オーナー「フォーエバーヤングは十分にチャンス」インタビュー前編
米G1のブリーダーズCクラシック(JRA海外馬券発売対象レース)は11月2日(日本時間3日午前6時41分発走)、米カリフォルニア州のデルマー競馬場で開催される。フォーエバーヤングを送り込むサイバーエージェント社長の藤田晋オーナー(51)が、このほどスポーツ報知の取材に応じ、「ケンタッキーダービーや凱旋門賞に比べて今回が一番チャンス」と日本馬の初勝利へ期待を明かした。単独インタビューは2日連続で掲載する。(聞き手・松末 守司) 【データで見る】フォーエバーヤングの血統、戦績 超多忙なスケジュールを縫って都内で30分、藤田晋オーナーは2度目の米挑戦を語った。 ―フォーエバーヤングは2走前のケンタッキーダービーで日本馬史上最先着の3着。現地で見届けた印象は。 「序盤はあまりスムーズではなかったので、最後の直線に入るまでは難しいだろうなと思っていました。最後はすごい勝負根性を見せてくれましたね。矢作先生(調教師)は叫んでいましたが、僕は周りを気にする余裕がありましたよ」 ―レース後、すぐにブリーダーズCクラシックへの参戦を矢作調教師が明言しました。 「それは予定通りです。ステップレースにジャパンダートクラシックを使うのも予定通りでした」 ―秋初戦のジャパンダートクラシックで快勝発進を決めました。 「前哨戦ではありましたが、僕の中では今年一番うれしいぐらいの勝利でした。国内でほとんど走っていないので、ラムジェット、ミッキーファイトなどが、すごく強く見えたし、力関係が分からなかったですから。勝ったことで何となく種牡馬のことも頭にちらつき出しましたね。日本で勝った。しかも、最強メンバーだったので、ちゃんと強いんだと。ホッとした勝利でした」 ―フォーエバーヤングの強さは、どの部分にあるのでしょうか。 「世界を渡り歩いて、どの競馬場、どの展開でも強さを発揮できる。そのあたりのメンタルタフネスが、すごいと思います。どんなときも泥臭く走ってきますよね」 ―矢作調教師の馬づくりで感じることは。 「トップクラスの厩舎で、安心して任せているだけなのですが、厩舎の助手さん、厩務員さんを信頼してやる気を引き出しています。そこがいいなと思っています。分かりやすい言葉を使って、しかもあまり格好つけずに、勝ちにいくぞと」 ―コンビを組む坂井瑠星騎手の印象は。 「リーディング上位で、完全に一流の騎手になったと思います。海外でよく乗ってもらっていますが、英語もできるし、国際感覚もすごくあります」 ―ブリーダーズCのイメージは。 「日本では凱旋門賞ほどは知名度がなくて、私もそこまで分かっていなかったのですが、ラヴズオンリーユー(BCフィリー&メアターフ)とマルシュロレーヌ(BCディスタフ)が勝った年(21年)に、日本馬も通用するのだなと感じました。去年のデルマソトガケ(2着)、ウシュバテソーロ(5着)が健闘したこともそうですね。僕のイメージでは芝の最高峰が凱旋門賞で、ダートはBCクラシックなのかなと思っています」 ―凱旋門賞、BCクラシックの2大レースに、1シーズンでどちらも所有馬を送り出すのは日本人オーナーで初めて。 「さすがに想像していなかったです。まだ国内G1も勝っていないので。海外に挑戦する厩舎に預けているということもありますね」 ―BCクラシックだけではなく、傘下のCygames社の冠名(※)がついたBCスプリントにメタマックス、BCジュベナイルにはシンビリーブも出走します。 「スポンサーは後から聞いたので、メタマックスが冠名レースに出るのは偶然です。シンビリーブは1戦1勝で走ってみないと分からない感じがあり、私は期待しています」 ―世界一を目指すフォーエバーヤングで、ファンに見てほしいところは。 「デルマソトガケ、ウシュバテソーロと結構な日本馬が出るので、日本代表という気持ちで応援してほしいですね」 ―今回のBCクラシックの勝算は。 「シティオブトロイは砂が合わないとか、フィアースネスは結構、波があるので調子が悪い可能性もあります。凱旋門賞やケンタッキーダービーと比べると、一番チャンスがあると思っています」 あすは馬主としての夢や野望を打ち明ける。 ◇藤田 晋(ふじた・すすむ)1973年5月16日、福井県生まれ。51歳。青山学院大学を卒業後、98年に「サイバーエージェント」を起業。代表取締役社長として「アメブロ」「ABEMA」などを手がける。18年にJリーグのFC町田ゼルビアのオーナーに就任し、22年12月に代表取締役社長、最高経営責任者(CEO)に就任。21年にJRA馬主資格を取得。傘下企業のCygamesが「ウマ娘 プリティーダービー」を開発、運営。 (※)10月2日にCygamesがBC協会とパートナーシップ契約の締結を発表。「ウマ娘」の英語版のサービスの配信を控え、冠名レースは世界展開への第一歩となる。
報知新聞社