上智大短大部も募集停止を公表…短大はこのまま「絶滅」を待つ運命なのか?
10年前の2014年度には353校あった短大が、2023年度には303校となり、さらに2024年度も、実践女子大学短大部(東京)など20校近くが募集停止している。ついに300校を切ったのだ。 同志社女子大もミスコン中止…“逆風”強まるも女子アナ採用戦線は異状なし? すでに2025年度以降の募集停止を公表している短大は、北星学園大学短大部(北海道)、足利短大(栃木)、東京経営短大(千葉)、星美学園短大(東京)、名古屋女子大学短大部(愛知)、鈴鹿大学短大部(三重)、奈良佐保短大(奈良)、池坊短大(京都)、園田学園女子大学短大部(兵庫)、武庫川女子大学短大部(兵庫)、姫路日ノ本短大(兵庫)、就実短大(岡山)、美作大学短大部(岡山)福岡女学院短大(福岡)、純真短大(福岡)、中九州短大(熊本)、九州龍谷短大(佐賀)など、かなり多い。 有名私大系列の短大も例外ではない。学習院女子短大を皮切りに、立教女学院短大などが続き、2023年度には青山学院短大が、さらに上智大学短大部も2025年度以降の募集停止を公表している。 もう短大は消滅する運命なのだろうか。 短大部を擁する広島文化学園大の板越正樹学長は、「教育学術新聞」で「最近は短大閉学のニュースが多いですが、短大にはまだまだ可能性があります。ドイツには国民高等学校(フォルクスホッホシューレ)があります。これは自由に教室をつかって市民なども講師になり、さまざまな学びを提供している成人向けの生涯教育機関です。日本でもこれを参考に、短大がある程度自由に単位や学位を出し、多様な高等教育の学びの一端を担っていく可能性がありうるのではないでしょうか」と指摘している。 特に地方では、現役世代のリスキリングや高齢者の生涯教育の学びの場として、短大が果たす役割が見直されつつある。 また「将来は地域密着で子育て支援の仕事をしたい」という高校生も少なくない。女性の社会進出が進むにつれて、保育園や幼保連携型認定こども園など地域のニーズが高まっているからだ。現に短大の学生総数が減少している中でも、幼児教育・保育など教育系は微減に留まっている。減少が著しい家政系、人文科学系、社会科学系などとは対照的だ。 幼児教育だけでなく介護、福祉、看護(3年制)などの専門分野を擁する短大は今後伸びる余地が大きい。地方における短大が多様な地域社会のニーズに対応した教育体制へと再編成していけば、絶滅どころか地方の再生の担い手養成機関、あるいはリスキリンや生涯教育の場としての道も開けるはずだ。 ただし、それを実現させるためには、短大自身のリスキリングが必要であろうが……。(木村誠/教育ジャーナリスト)