ノーベル化学賞の吉野彰氏が会見(全文1)まさか、まさかの受賞
受賞の発表を見たとき、どんな反応をしたのか
日本テレビ:最後にもう1点だけ、電話を受けたときに、電話を切られたあとに、先生、お部屋の皆さんとかには何も言わないで黙って。 吉野:基本的にその電話も正式のオフィシャルアナウンスまではシークレットですよね? Yes, I will.とか答えましたので(笑)。ただ、当然その場の雰囲気で、ああ、なんかあったっていうのは皆さん感じられたと思いますし、はい。 日本テレビ:テレビでじゃあ最終的にご覧になって、受賞の発表を見たとき、先生、何か、どんな反応をされたんでしょうか。 吉野:実は昨日、物理学賞のライブストリームをちょうど拝見しておりまして、非常に厳かな発表風景を見ておりまして、ああ、あの場で私の名前が呼ばれたらいいなとは思ってましたんで、そのとおりになりましたということでしょうか。 ちょっと、突然のお話なもんですからね、うれしさというよりもやっぱり戸惑いのほうが強かったかなと思います。ありがとうございました。 司会:次の方どうぞ。じゃあ一番後ろの。いけるかな。今、手を上げてらっしゃる男性の方。
どんな形で環境問題に貢献するのか
テレビ東京:テレビ東京の滝田でございます。ご受賞おめでとうございます。 吉野:ありがとうございます。 テレビ東京:先ほどおっしゃった言葉の中に、スウェーデンのノーベル賞のアカデミーが先生に受賞された理由として、環境問題を挙げておられました。具体的にはリチウムイオンの今回の実績というのは、どんな形で環境問題に貢献していくことができるんでしょうか。まずそれをお伺いしたいと思います。 吉野:まずリチウムイオン電池というのは、電気を蓄えるというのが一番の機能でございます。ですから1つは、今もうすでに始まっておりますけれども、いわゆる電気自動車の普及ですよね。これはもう当然、リチウムイオン電池でないとできません。じゃあ、単に車をクリーンにするだけかというと決してそうではなくて、そういった電気自動車が普及いたしますと、巨大な蓄電システムが自動的に出来上がることになります。そうしますと太陽電池ですとか風力発電とか、非常に変動の激しい発電技術が非常に普及しやすくなってくると。そこのところがたぶん一番大きな環境問題への貢献だと思います。