坂本真綾&河本啓佑『下の階には澪がいる』で表現する“心の揺れ” 自身の学生時代も振り返る
■「男らしさを出さない」「ギリギリのあざとさ」を意識した役作り
――そういった心の機微を丁寧に描いている本作。キャラクターを演じる上で意識したこと、音響監督から受けた指示などはありましたか? 河本:初回の収録から、吹き替え演出の太田信乃さんに「男らしさを出さないで」と言われました。女性に慣れている感じを一切出さず、純朴な青年を演じてほしいと。でも、職業柄なんでしょうか。女性を慰めるシーンなど、どうしても声に“色っぽさ”みたいなものを滲ませてしまって、「今のところは男らしかったんで、もっと純朴な感じでお願いします」とリテイクをもらうことが何度かありました。1話から最終話にかけてずっと言われ続けたので、そこをとにかく意識しましたね。 坂本:本作の現場は、すごく女性スタッフが多かったんです。澪を演じる上で、彼女の持つ“あざとさ”を鼻につかないギリギリのところで抑えることが重要になってくると思ったので、何人もの女性の目から見て「それはあざとい」「これはギリギリ」と常にジャッジしてもらいました。 ――「魅⼒的な3⼈の⼥性に振り回される陽」というところがポイントになってくるので、桃井真珠と三国紗羅についての印象も聞かせてください。 河本:真珠先輩は、THEヒロイン。非の打ち所がない「カワイイ」で出来ていて、嫌味なところも一切ありません。完璧すぎて、陽が真珠先輩に憧れるのがわかる。しかし、彼女は家族に“ある問題”を抱えていて、「守ってあげたい」というかわいさの中に、芯の強さも持ち合わせている女性だと感じます。紗羅は、サバサバしていてかっこいい女性なのかと思いきや、内面は一番乙女。モノローグであたふたしていることが多くて、陽に似ていると思いました。 坂本:色々な韓国ドラマの吹き替えをやってきましたが、だいたいヒロインがいて、恋敵がいて、意地悪な人もいて……というのが韓流ドラマのセオリーだと思っていました。しかし、この作品は女の子同士みんな仲が良いんです。でも残念なことに、みんな陽が好きなんですよね(笑)。仲が良いからこそ修羅場にならない、穏やかに見られるラブロマンス作品なのが本作の魅力的なところだと思いました。 ――澪は、既に多くの読者・視聴者を沼らせている“猫系⼥⼦”とのこと。最近“○○系”というワードが流行っていますが、お2人が自分を“○○系”に当てはめるとすると? 坂本:私は「せっかち系」ですね。「待てない系」とも言うかも。 河本:そうなんですか? 坂本:すごくせっかちなの。そろそろアフレコが終わるなと思ったら、片づけを始めてすぐに帰る準備をしちゃう。電子レンジとかも、1分設定しても1分待てないで開けちゃう。で、結局まだ冷たくて「なんだよ、もう!」と思ってまた電子レンジをかける羽目になっちゃう(笑)。 河本:(笑)。それはせっかち系ですね! 僕は、なんだろう……。草食系男子かな? 坂本:それ自分で言う人あんまりいなくない!?(笑) 河本:胡散臭いですかね?(笑) じゃあ、真夏系男子でどうでしょう。夏が大好きで、野球やゴルフ、アウトドアスポーツをするのが好きなので。今はまだ肌が白いんですけど、これから……。 坂本:ちょっと待って、これで白いの? 河本:僕にとって今の状態はすごく白いです(笑)。今後真っ黒になっていくので、楽しみにしていてください(笑)。 ――楽しみにしています(笑)。最後に、アニメの放送を楽しんでいる方へメッセージをお願いします。 河本:きっとアニメをご覧になった方は、澪、真珠、紗羅のうちの誰かの虜になると思います。それくらい魅力的でステキな女性3人に注目してもらいつつ、その上で陽の恋を見守っていただきたいですね。同世代の方も、昔そうだった方も、絶対に「陽の気持ちがわかる!」となると思います。 坂本:ドラマにもなっているし、原作を読んだ方もいるだろうし、もちろん今回のアニメからでも、どこが入口でも絶対に楽しんでもらえる作品です。アニメで初めて触れた方は、「ドラマはどうだったんだろう?」「原作はどうなんだろう?」と全部知りたくなっちゃうような作品なので、ぜひハマってもらって、一緒に楽しんでいただければ。 取材・文:米田果織 写真:吉野庫之介 ヘア&メイク:MIZUHO(ビタミンズ) スタイリスト:岩渕真希 テレビアニメ『下の階には澪がいる』は、フジテレビ「B8station」にて 毎週水曜25時25分放送。