ジャパネットが実践する、アットホームでストイックな生産性向上施策とは
効率だけではギスギスする。社員をモチベートする環境を
無駄を省く一方で、全従業員を対象に、知識やスキルを高め、増やしていくための研修を、業務時間内に隔週で開催している。仕事に関連するテーマだけでなく、資産形成や子育てなど私生活に役立つプログラムも企画し、多くの社員が参加している。 「注意しておきたいのは、『働き方改革だ』『生産性改善だ』と従業員に言っているだけでは、社内の雰囲気がギスギスしてしまうことです。モチベートする環境づくりとして、ジャパネットホールディングスでは、“業務中の休息の充実”“プライベートの充実の支援”に注力しています。 例えば、“業務中の休息の充実”のため、タニタ食堂と提携して社員食堂でヘルシーな食事を提供したり、地元の飲食店で使える無料食事チケットを配ったり、各拠点に自由に使えるマッサージチェアを置いたり。コールセンターには、学生アルバイト用の勉強スペースも用意しています」 “プライベートの充実の支援”に関しては、福利厚生として保養所、体育館、露天風呂などの施設が用意されているほか、ヤフオクドームの観戦ルームも借り上げている。これらは部署の交流にも活用されていると、田中氏は数々の写真を交えて紹介した。 従業員の家族に対しても、子どもの誕生や入学などお祝いのタイミングには商品カタログを贈っている。商品を届ける際は、部署メンバーからの写真やメッセージも添えられる。 働き方改革や生産性改善にあたって欠かせないのが、“エンゲージメントの向上”であり、そのためには、制度の背景をしっかり理解してもらえるような日々の働きかけが大切だと田中氏はいう。 例えば、全社員が視聴する毎月の全社朝礼では、社長や役員が、研修や制度の目的や背景などを丁寧に語る。日常的には、スマートフォンの従業員用アプリケーションを活用して、社長はじめさまざまな部署からリアルタイムに情報を発信し。アプリ内で社内向けプレゼント告知を行うなど、注目度を高める工夫にも余念がない。 「定期的に、社員と社長の直接座談会も開いています。社員からの質問にNGはなく、全て社長が回答します。気になることやモヤモヤをできるだけ解消してほしいと考えているためです。制度を浸透させるためには、背景を徹底して伝えて理解を促すことが重要です」 取り組みを始めた2015年と比べて、同社の月平均の残業時間は44%削減された。離職率はもともと他社平均より低かったが、さらに4%減少。顧客満足度調査、従業員満足度調査ともに、全ての項目が右上がりに順調に推移している。