２度目の幕内最高優勝を果たし、八角理事長（右）から天皇賜杯を受け取る。後方は伊勢ヶ浜親方＝２０２０年１１月

　日本相撲協会は２０日、元大関の関脇貴景勝（２８）＝本名佐藤貴信、常盤山＝の現役引退と年寄「湊川」襲名を発表した。２１日に引退会見を開く。 【写真】初場所で優勝し鯛を手に満足げな貴景勝　隣の常盤山親方もニッコニコ 　大関から５年ぶりに陥落して秋場所に臨んだ貴景勝は、慢性的な首痛の影響で初日から２連敗を喫し、３日目から休場。１場所での大関復帰条件である１０勝に届かなかった。師匠の常盤山親方（元小結隆三杉）によると、１１日目の１８日夜に本人から引退の申し入れがあったという。同親方は「よくやりましたよ」とねぎらいの言葉を口にした。 　埼玉栄高在学中の２０１４年秋場所で初土俵を踏んだ貴景勝は、強烈なぶちかましと突き押しを武器に順調に出世。１７年初場所で新入幕を果たすと、１８年九州場所で初優勝。１９年春場所後に２２歳７カ月の若さで大関に昇進した。大関在位は３０場所。大関が最高位の力士では魁皇の５回に次ぐ４回の優勝を果たした。 　ただ、１７５センチと力士としては小さな体で頭からぶつかっていく取り口は負担が大きく、大関昇進後は膝、足首、胸などケガが絶えず。休場も増え、かど番は９度を数えた。中でも長らく悩まされた首の痛みは、引退の大きな原因となった。 　初めて大関から陥落した１９年秋場所では１場所で大関復帰を果たしたが、２度目は叶わず。横綱・大関では平成以降で最年少、大正以降でも４番目に若い２８歳１カ月で現役生活に別れを告げた。 　◆貴景勝貴信（たかけいしょう・たかのぶ）本名佐藤貴信。１９９６年８月５日、兵庫県芦屋市出身。小３で相撲を始め、報徳学園中３年で中学横綱。埼玉栄高では全国７冠に輝いた。貴乃花部屋に入門し、２０１４年秋場所で初土俵。１６年夏場所で新十両、１７年初場所で新入幕。１８年１０月に千賀ノ浦部屋（現常盤山部屋）に転籍。同九州場所で幕内初優勝を果たした。１９年春場所後に大関昇進。幕内通算４６場所で大関在位は３０場所。優勝４回、殊勲賞３回、敢闘賞２回、技能賞２回、金星３個。通算成績は４４１勝２５４敗１１６休。しこ名は前師匠の貴乃花親方が好きな武将・上杉景勝が由来。家族は有希奈夫人と１男。１７５センチ、１６５キロ。Ｏ型。