52期連続黒字、2023年には売上高1912億円、経常利益553億円を叩き出した王者・アパホテル、「客室数日本一」を支える経営哲学とは?
次に「1秒チェックイン」とは、到着前、アプリでチェックインボタンをクリックし、QRコードを発行。到着後に、「1秒チェックイン専用機」にスマホをかざせばルームキーが発行され、チェックインが完了する。 最後の「1秒チェックアウト」は宿泊後、返却ポストにキーを入れるだけでチェックアウトができる。 いずれも現在はそう珍しいものではないが、アパがオンライン決済とアプリ予約サービスを開始した時期は2017年4月。コロナ禍より前の話だ。
■アプリを開発した背景は? 導入した理由について元谷氏は、「オンライン決済は、スマホとルームキーがつながる未来を見据えての開発でした。またアプリ開発のきっかけは、GAFAが『検索表示からの予約成立時に一定のコミッションを取る』方式に転換したことです。コミッションを削減して個人を囲い込むには、アプリしかないと考えました」と振り返る。 当初はまだQRコードの発行はなく、チェックイン機での入力が必要だった。だが2020年6月、コロナ禍を受け、QRコードでルームキーを発行できる「1秒チェックイン専用機」の順次導入がスタートする。狙いは、さらなるスピードアップと非接触にあった。
それから4年。2024年現在、アパアプリのダウンロード数は500万を超えている。OTA(オンライン旅行代理店)からの予約をのぞき、自社システムでの予約は7割以上がアプリからだ。 理由は、指先一つでできる手軽さ。そして、予約成立時にアパが8~15%の手数料を取られるOTAよりも、自社システムからの予約を最安値とする「ベストレート宣言」をしていることにある。 ■顧客満足度向上とDXによる省人化、2兎を追う
2023年5月には、新たなアプリも誕生した。滞在者専用アプリ『APA Stay Here』だ。 ノーマルの『アパホテル』以外の4ブランド、『アパホテル&リゾート』『アパホテルステイ』『アパホテルエクセレント』『アパホテルプライド』への導入が順次始まっている。 新アプリのコンセプトは「1Guest,1Digital Concierge」。滞在の延長やマッサージの予約、レストランの食券購入など14の機能を備えている。