日本の野球が世界の憧れに!プレミア12、メジャー選手不在が押し上げた「侍ジャパン」の地位
■ メジャー不在で日本の野球の地位向上 WBCとプレミア12の最大の違いは、現役メジャーが参加していない点だ。メジャーとメジャーの選手会が共催するWBCと違い、プレミア12はWBSCの主催となっており、大会日程もシーズンオフの時期とあって、メジャー組が“義理”を果たすこともない。 日本は若手主体で構成し、主力をけがで欠くなどベストメンバーとはいかず、大会前の注目度はそこまで高くはなかったが、報道によれば、テレビ朝日系で放送された決勝の世帯平均視聴率は17.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。22日に放送されたベネズエラ戦の平均世帯視聴率は13.5%、23日放送の台湾戦の平均世帯視聴率も14.8%と一定の盛り上がりを見せた。 プレミア12は世界ランキング上位12カ国・地域で争う国際大会で、WBSCはプレミア12を通じて野球の世界的な普及、そして野球・ソフトの五輪復帰も目指している。27年の第4回大会では予選を勝ち上がった4チームを加え、出場枠を16へ拡大することが発表された。翌28年にはロサンゼルス五輪での追加種目に決まっており、機運を高める狙いがある。 ただ、次回大会でもメジャー選手は不参加の公算が大きく、世界的な普及や人気拡大には日本の存在が欠かせない。 侍ジャパンにとっても、WBC以外の国際大会はメリットがある。 WBCは収益配分をメジャーとメジャー選手会に握られる構造となっている。他方、プレミア12では大会前に公式戦とは違う強化試合を組むことで収益を上げ、「侍ジャパン」を常設化することで固定のスポンサーを募って安定的な収入につなげることができる。 オフに招集される代表選手にとっての負担は大きいが、「侍ジャパン」が果たす国際的な役割と、日本野球へのリスペクトは、国際大会で存在感を発揮してこそ高まっていく。 田中 充(たなか・みつる) 尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授 1978年京都府生まれ。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了。産経新聞社を経て現職。専門はスポーツメディア論。プロ野球や米大リーグ、フィギュアスケートなどを取材し、子どもたちのスポーツ環境に関する報道もライフワーク。著書に「羽生結弦の肖像」(山と渓谷社)、共著に「スポーツをしない子どもたち」(扶桑社新書)など。
田中 充