機能性とサステナビリティを両立、三菱ケミカルが生み出した新素材「BENEBiOL™(ベネビオール)」
経年劣化によるトラブル抑制&柔軟性も実現
ーBENEBiOL™の開発における、苦労やエピソードについて教えてください。 金森BENEBiOL™に使う原料には、たくさんの候補がありましたので、その一つひとつを組み合わせたり、配合の割合を変えたりして、実際にポリウレタンを作る作業を何度も行いました。 それらをお客様に提供し、繰り返しフィードバックをいただくという泥臭いサイクルを繰り返した点が一番苦労した点ですね。 その結果として、機能面に関して企業から高い評価をいただいております。 ポリウレタンは用途がかなり幅広い素材です。たとえば合成皮革や人工皮革、防水のコーティングなどが挙げられます。ファッション以外ですとテーブルの塗装や内装の建材、ファブリック関係のコーティングなど、いくつも挙げられます。 こういった用途において一般的なポリウレタン原料を使用した場合、靴のソールの加水分解によるべたつきなどがイメージしやすいかと思いますが、靴に限らず経年劣化によるトラブルが課題としてありました。 このようなトラブルを抑制できる耐久性を付与できることはもちろんですが、ポリウレタン製品の使用にあたっては柔軟性との両立も必要です。それを実現できた点も大きいと言えます。
ーBENEBiOL™を紹介した際、ユーザーからの反応はいかがですか。 金森: 現状はまだまだ、「植物由来のポリウレタンなんてあったんですね」という反応や、「ポリウレタンって加水分解しやすくて、使いづらい素材ですよね」といった、かつてのポリウレタンのイメージが強く残っているように感じます。 そのため、企業はもちろん、実際に製品を手に取る消費者の方々にBENEBiOL™の機能とその価値を知ってもらうにはどうしたらいいのかを、日々考えています。 たとえば、アパレル業界を含めて全体として環境対応を進めていきたいというお声がありますし、自動車業界においては環境対応のひとつとして車の内装における人工皮革・合成皮革に植物由来の素材を求めるお声も聞いています。そうした課題の解決に貢献できると考えています。 さらに、消費者の方々もサステナビリティに対する関心は高まっていますので、そこに対して訴求していきたいと思っています。