台所やトイレがない家に住み、社会保険に加入できない人たちが2億5000万人!中国の都市に住む「運の良くない市民」とは
急速に進んだ中国の都市化の裏側
中国の都市化における問題は、中国の都市住民の生活水準には大きな幅があることだ。古くから都市に住む運の良い人たち(図表2の「登録者」)はきちんとした住宅に住み、公立学校や医療、年金などの社会サービスをすべて受けられる。 しかし、地方から移住してきた、あまり運の良くない人たちも2億5000万人(都市人口の3分の1、図表2の「非登録者」)ほどいて、彼らは都市に住んで仕事をしているものの、こうした社会サービスを受けられない。加えて、世帯専用の台所やトイレがないなど、低水準の住宅に住んでいる場合も多い※。 過去40年間で、何億人もの中国人が都市部に引っ越してきた。しかし、その多くがいまだに十分な都市生活を送れていない。言い換えると、中国は仕事の都市化には成功したが、国民の都市化には成功していないということだ。 この「不完全な都市住民」を完全な都市住民にすることが、次の10年の大きな課題となっている。 ※WorldBank/DRC2014,5.もっと悲観的な見方では、2010年の人口調査で認識された6億7000万人の都市住民のうち、47%に当たる3億1400万人が都市の「戸口」を持っていないという。WorldBank/DRC2014:89を参照のこと。 アーサー・R・クローバー 香港金融調査会社ギャブカル リサーチヘッド
アーサー・R・クローバー