米ディズニー、約7万円の「新パス」導入で物議“夢の国”は富裕層のもの?「経済学的には正しい」「子どもが行けないと価値が下がる」
■子どもが訪れにくいディズニーになったら未来は?
パスが高騰すれば、来場者は富裕層に限られ、それとともに子どもの来場者が減る懸念もある。これに鈴木氏は「ここはすごく問題。基本的に子どもは親がなんとかしてあげようと思うので連れていくが、行けない子どもが増えている」と述べた。行けない子どもが増えると何が起こるのか。「ここはすごくビジネスとしてパラドックスがある。子どもがディズニーに行けなくなると、ディズニーの価値は減る。子どもはみんなディズニーが好きだから、今ディズニーの価値が上がっている。だからこれを何とかしなくてはいけないというのは、実はディズニーの経営としては裏課題としてすごく大きな問題だ」と語った。 ディズニー・エンターテインメントが運営する動画配信サービス「ディズニープラス」は、その上で子どもをつなぎとめる非常に大きな役割を担っている。「ディズニープラスの価格を(月額)990円から上げないというのはその戦略。それだけ払っておけば、どこの家庭でも、お子さんが毎日好きなだけディズニーを見ることができる。この状況をキープしておかないと、ディズニーランドの値上げだけだったら、ディズニーの経営は持たなくなってくる。安くプロダクトを買えるディズニーストアも同様に重要だ。お金が厳しい方でも、子どもをディズニーストアに連れて行けば、そこも夢の国になっている」と述べた。 これにはコラムニストの河崎環氏も「アメリカのディズニーリゾートも行った経験があるが、その時に日本人はディズニーに行き過ぎだなと思った。日本では誰でもディズニーに行けるが、アメリカではフロリダやカリフォルニアまで家族で大移動する必要があり、一生に一度行けるかどうかというものだ」と語った。 子ども向けビジネスの値上げは批判の対象になるのか。鈴木氏は「今回は明らかにやりすぎだとアメリカで炎上している。子ども連れの家族旅行が手軽に楽しめなくなっている」とし、将来的に子どもが訪れにくいディズニーリゾートになってしまえば、ディズニーのブランド価値は大きな影響を受ける可能性を示唆した。