まるで悪夢 生成AIが生み出すミーム動画が人気
AI(人工知能)で生成された動画が今、ちょっとしたブームになっている。多くのAI愛好家たちが人気のあるミームテンプレートをAIで加工して遊んでいるからだ。 火付け役の一つが、スパゲッティを食べるウィル・スミスの動画だった。その後、AI生成動画は大きな進歩を遂げており、中国のAI動画生成アプリ「KwaiCut」を使って生成された中華麺を食べる男性の動画は、指のあたりが少々おかしいものの、まずまずの出来といえる。 米OpenAIの動画生成AIモデル「Sora」は、キュレーションされたデモ動画を多数公開しており、その中には非常に印象的なものもあるが、まだ一般公開されていない。 AIスタートアップの米Luma Labsは、無料で試せる動画生成AIサービス「Dream Machine」を公開し、先手を打った。画像生成AIと同じく、わずかなプロンプト(指示)だけで動画を生成でき、多くの人が試行錯誤の結果生まれた「最高傑作」をオンラインに投稿している。 ■AI生成動画には鑑賞に値するか AI生成動画のクオリティは劇的に高まっており、今後もどんどん改善が進むだろう。ただ、今のところ最も出来のよい生成結果であっても、登場人物の姿が変容していく傾向があり、まるで高熱を出したときに見る奇妙な夢のような動画が生み出されている。 これはあらゆる生成AIモデルに共通する避けられない現象で、事実に基づかない情報を生成することから「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる。 人間の動きを再現するというのは、熟練したアニメーターでも簡単にできることではない。このプロセスを自動化すると、非常に不気味な結果ができあがる。 何とも胸がざわつく動画の一つに、「目移りするボーイフレンド」というミームから生まれた作品がある。カップルの片割れの男性が通りすがりの女性に目移りし、後を追いかけ始めるというだけの動画だが、どういうわけか追いかけられる女性の姿が少しずつ若返って少女になってしまうので、見るものを落ち着かなくさせる。 このミームの男女逆転版である「目移りするガールフレンド」からは、さらに衝撃的な動画が生成された。通りがかった男性に見とれる女性の体が、途中で180度ねじれて逆を向くのだ。悪魔に憑かれでもしたような動きで、まぎれもない悪夢の産物だ。