194キロ衝突死で元少年側「危険運転」を否認、憤る遺族「過失なわけがない」
大分市で2021年、時速194キロで乗用車を走行して右折していた車に衝突し、同市の会社員小柳憲さん(当時50歳)を死亡させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)に問われた元少年(23)の裁判員裁判の初公判が5日、大分地裁であった。弁護側は危険運転致死について否認し、検察側が予備的な訴因として加えている法定刑の軽い過失運転致死の適用を求めた。 【写真】事故で大破した小柳さんの車=遺族提供
初公判終了後、小柳憲さんの姉・長文恵さん(58)は大分市内で開いた記者会見で、「194キロの事故が『うっかり』(といった)過失なわけがない」と強調し、危険運転致死に当たると訴えた。
元少年が法廷で謝罪した際、頭を下げた方向が正面の裁判官側だった。長さんは「誰に対して謝罪しているのか」と憤り、今後の公判に対しては「スピード超過の抑止につながる裁判になってほしい」と述べた。
会見には、宇都宮市で時速160キロ超の乗用車がオートバイに追突した事故で夫を亡くし、昨年7月に設立した「高速暴走・危険運転被害者の会」で長さんと共同代表を務める佐々木多恵子さん(60)らも出席。同事故を巡っても、被告は過失運転致死から、遺族らの署名活動後に危険運転致死に訴因変更された。佐々木さんは「苦しんでいる遺族に少しでも光が見える判決が出るといい」と語った。