蒸し暑い夜でも快眠できる環境を整えるには
エアコンや冷感グッズを上手に活用
蒸し暑く、寝苦しい季節がやってきた。睡眠不足は体の不調につながるほか、気温の下がらない夜には熱中症を起こす危険もある。エアコンや冷感グッズを上手に使って、涼しく安心して眠れる環境を整えたい。 気象庁によると、最低気温25度以上の熱帯夜の日数は都市部を中心に増加傾向だ。昨年の東京は57日にのぼり、最多日数を更新した。25日に発表された3か月予報でも、7~9月の平均気温は全国で平年より高くなる見込み。担当者は「夜間も平年より暑い日が多いだろう」と話す。 こうした中で、気をつけたいのが夜間の熱中症だ。高温多湿の日本の夏では、汗をかいても体温が下がらず、暑さで眠れなかったり、夜間の屋内でも熱中症になったりする場合がある。 一般社団法人日本睡眠改善協議会の上級睡眠改善インストラクター、安達直美さんは「熱中症だけでなく、睡眠不足による体調不良を防ぐためにも、涼しく快眠できる環境作りが必要」と話す。 安達さんはまず、「睡眠の邪魔になる光や音を遮り、エアコンを適切に使いましょう」と呼びかける。エアコンは、室内の温度が27度前後、湿度が55%前後になるように設定する。寒く感じる場合は、「冷房」を「ドライ」に切り替えたり、肩や膝が隠れるパジャマを着たりして調整する。 エアコンの風は、直接体に当たらないようにする。難しい場合は、サーキュレーターや扇風機をエアコンの吹き出し口に向けて動かし、室内に冷気を循環させる。 入浴も大切だ。暑いからとシャワーで済まさず、湯船につかる。一度体温を上げることで、入浴後に熱の放出が進んで体温が下がり、寝付きやすくなるという。就寝する1~2時間前、39~40度のお湯に全身浴なら10分、半身浴なら20分ほどつかるとよい。額にじわっと汗をかく程度が目安だ。安達さんは「入浴にはリラックス効果もある。入浴剤なども使ってみてください」と話す。 冷感グッズを取り入れるのもよい。渋谷ロフト(東京)は今年、取扱数を増やした。春から暑い夜が続いたこともあり、5月はボディーケア関連の売り上げが前年同月比で30%増えたという。 たとえば、「サヴォンアンドカンパニー フレグランスボディフローズン」(1485円)は、シャーベットのような質感のジェルクリームで、入浴後などに肌の保湿に使う。冷蔵庫で冷やして使うと冷感がアップするという。 「ひんやりぐっすりナイトシャワー」(1485円)は、パジャマやシーツに吹き付けると、気化熱とメントールなどの効果で冷たさを感じられるスプレーだ。ミントやメントールが配合された入浴剤の売れ行きもよいという。
寝具大手の西川(東京)は今年、エアコンと併用することで寝床の温度や湿度を快適に保つ掛け布団(1万4300円)を発売した。肌着にも使われている素材などで作ったサラッとした風合いが特徴。中綿の代わりに立体的なメッシュ構造のポリエステルの詰め物を用い、適度に冷気を取り込みながら、蒸れを軽減するという。 近年、スマートフォンの普及で、自身の睡眠の記録を取得し、ぐっすり眠れているかなども確認できるようになった。安達さんは「睡眠は個人差が大きい。一人一人が自分の睡眠について知り、状況によっては関連グッズも取り入れながら、心地よく眠れるように工夫してほしい」と話している。(読売新聞生活部 木引美穂)