AI時代にこそ必要な「非認知能力」の伸ばし方とは?笑い飯・哲夫と考える、これからの教育に必要なこと
<世界と日本の教育、海外で注目される日本の「特別活動」──自身で塾を運営する笑い飯・哲夫さん、教育政策や子どもの非認知能力に詳しいお茶の水女子大学の浜野隆教授、元中学校教諭のJICA人間開発部・田口晋平課長とともに、これからの教育に必要なことを考える>
※当記事は「JICAトピックス」からの転載記事です。 世界が直面しているさまざまな社会問題について、タレント・大学生の世良マリカさんと一緒に考える「世界をもっとよく知りたい!」。第4回のテーマは「教育」。スペシャルゲストにお笑いコンビ「笑い飯」の哲夫さんを迎え、お茶の水女子大学教授の浜野隆さん、JICA人間開発部の田口晋平課長にお話を聞きました。 【鼎談を動画で見る】なぜ今世界に広がる?日本の教育
<世界の教育・日本の教育の現状とは?> 世良マリカさん(以下、世良) 哲夫さんは塾を運営されているんですね。 笑い飯 哲夫さん(以下、哲夫) 激安塾なんですけどね。以前吉本の社員さんが「子どもの塾代が月に6~7万かかる」と言ってて、そうなるとお金持ちの家の子しか塾に行かれへんなと。自分が小学生のときは近所のおばあちゃんが3000円の月謝で教えてくれたんですよ。それでいろんな家庭環境の子が通える塾を始めました。
JICA広報部 伊藤綱貴さん(以下、伊藤) 世良さんは「子どもの教育が進んでいる国」というと、どこをイメージしますか。 世良 香港、シンガポールといったアジアの国々ですね。 JICA人間開発部 田口晋平課長(以下、田口) そうなんです。2022年の国際学力調査(PISA)ではシンガポールが1位で、「シンガポールMath」という算数学習が特徴的です。例えばバーに100と書き、それを2つに割ると50になるというように、視覚的・具体的な「バーモデル」で数学的な思考を深めるものです。
世良 日本の教え方とはどう違うんですか。 田口 実は、日本もPISAで世界トップレベルの結果が出ています。「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」「読解力」の3分野すべてで、前回の2018年の調査よりも平均点と順位が上がっています。算数学習に関して言うと、日本の小学校でもシンガポールと同様に、おはじきセットなどを使って具体的に数学的概念を教えます。そして日本の算数学習の特徴は、自ら問題を解く方法を見つける「問題解決型学習」が行われていることです。シンガポールでも問題解決型学習は行われていますが、子どもたちが先にいくつかの解法を学び、その中から適切な解法を選んで問題を解くやり方です。一方で日本は、子どもたちが試行錯誤しながら自ら解法を探し出す、より自由な学び方です。