【連載】会社員が自転車で南極点へ11 「明日、南極点だ」
「アムンゼン・スコット基地、南極点だ」
最終日の朝がやってきた。 僕達は、いつものように6時に起きて、水をつくり、ラーメンを食べて、テントを撤収、ソリに荷物を詰め込んだ。テントの撤収は、エリックと僕二人でやった。お互い特に交わす言葉はなかった。しかし、どの順番で、誰が動くのか、話さなくてもお互いがわかって、動くようになっていた。 自転車にまたがって、走りだす。ソリが遅れて、ズズズと音を立ててついてきた。 しばらく走るとエリックが急に止まった。 「Yoshi、あれを見てみろ!」
指差した先には、いつもと変わらない雪原の地平線。だが、目を凝らしてみると、小さな黒い点のようなものが地平線の上にくっついていた。 「アムンゼン・スコット基地、南極点だ」エリックが嬉しそうに言った。 「あれが...南極点...」 僕は、全身に鳥肌が立つのを感じた。