【大学トレンド】就活生が苦しむ自己PR探し…大学が「可視化システム」を開発
大学生の就職活動が長期化しています。大学3年時のインターンシップが事実上の就活スタートとなり、自分自身に合う企業探しに躍起になります。そんな学生をサポートするため、独自のキャリア形成支援を行う大学が増えています。就職先を決めることだけでなく、長い人生の中でのキャリアについて考える授業も行われています。 【写真】大学生の起業、なぜ増えた? 専門家「何から始めたらいい?と、毎日相談が来る」
千葉商科大学は、就職支援の一環として2023 年 3 月から、独自に開発したキャリアスキルシート「AKINAI(あきない)」の運用を開始しました。自分のスキルや経験を振り返り、可視化し、自己PR用紙として企業に提出することで、履歴書やエントリーシートには書ききれないエピソードや人柄を企業にアピールすることができます。キャリア支援センターの川瀬功センター長は、導入の経緯についてこう話します。 「就職活動の際、履歴書と併せてエントリーシートを提出するのが一般的ですが、広く出回っている書き方マニュアルに沿った、型にはまった記述が多く見られます。まずはしっかりと自分の経験を棚卸ししてアピールポイントを整理し、可視化するためにキャリアスキルシートを開発しました」
学生が自分のアピールポイントを整理できる
記載項目は画像の通りです。 各項目を自己評価で採点してチャート化し、具体的なエピソードを記入しながら仕上げていきます。
失敗も乗り越え方で評価ポイントに
「学生たちは『AKINAI』への入力を通して大学生活を振り返り、改めて自分の強みや弱みを確認できます。企業へのアピールポイントを整理することで、面接で充実したやりとりができるほか、今後はどんな成長や能力が必要なのかといった気づきを得てもらうのも大きな狙いです」(川瀬さん) 自由記述の「目標をもって取り組んだこと」「失敗談や挫折経験」という欄は、同学と連携している企業とAKINAIについての意見交換会をした際に出た要望を取り入れた項目です。 「学生と面接をするときに『どんな目標を立てて、それに対してどう取り組んだか。目標を達成できなかった場合にどうしたか』ということをぜひ聞きたいという意見が企業側からありました。失敗をどう乗り越えたかは、大きな評価ポイントになります。それをしっかり整理しておくと、面接の際にも自信をもって答えられます」(川瀬さん) 一般的なエントリーシートでは、自己PRや志望動機、学生時代に頑張ったことなど定番の質問に対して記載するものが多いですが、AKINAIは独自の項目でさまざまなエピソードや人柄をアピールすることができます。また、文章だけのエントリーシートと違い、学生の能⼒要素や社会対応⼒がレーダーチャートやグラフで視覚化されていることもポイントです。 企業の採用担当者からは、「面接でガクチカ(学生時代に力を入れたこと)について質問すると一つのエピソードしか出てこない学生が多いが、AKINAIでは複数の経験をリスト化して記載しているので、話が広がりやすい」「能⼒要素や社会対応⼒が⼀⽬瞭然」などの声が届いているそうです。 また、AKINAIを利用した就活中の学生からは、「AKINAIに入力することで、自分の経験を棚卸しできた」という声が多く聞かれました。初めは書くことがないと困っていた学生も、AKINAIの項目を元に自分のこれまでを振り返ることで、自分の価値や新たな目標が見つかることもあるそうです。