ソフトバンク・甲斐 FAへの思い「キャッチャーとしての自分がやってきたこと…評価を聞いてみたい」
ソフトバンクの甲斐拓也捕手(32)が13日、みずほペイペイドームの球団事務所を訪れ、国内フリーエージェント(FA)権の申請書類を提出した。今後の決断のポイントとして挙げたのは「捕手・甲斐」をいかに評価し、必要としているか。きょう14日に公示され、あす15日から他球団の交渉が解禁となる。すでに巨人が強い関心を示しており、宣言残留も含めて熟考していくことになりそうだ。 今季7度目のゴールデングラブ賞、2度目の最優秀バッテリー賞に輝いた甲斐がFA権の行使を正式表明した。球団に書類を提出。15日から他球団との交渉がスタートする。 「1度きりのことだと思ってますし、こういったタイミングで自分の野球選手としての評価を聞いてみたいと思いました。キャッチャーとしての自分がやってきたことをどう評価してくれるかを聞いてみたいですし、自分がどのようにキャッチャーとしてやっていくのか明確にできればなと思います」 2010年の育成ドラフト6位で入団。そこからキャリアを積み重ね、球界を代表する捕手へと成長していった。侍ジャパンの出場経験も豊富で19年のプレミア12、21年の東京五輪、23年のWBCでの世界一に貢献。今季は育成ドラフト出身では初の1000試合出場も達成した。 その原動力となったのが、ひた向きな努力と強い向上心だった。かねて「野球自体が時代とともに変わってきている。野球をしているうちは学ぶことがたくさんある。もっと新しい自分を見つけていかないといけない」と、常に捕手としての進化を掲げてきた。 この先、求める決断のポイントとしては「捕手としてのポジションでの自分の必要性」を挙げた。まだまだここから捕手として成長の歩みを止めるつもりはない。「野球人生でこれからが、ある意味見せどころなのかなと思ってますし」と力強く口にした。 ソフトバンクは4年総額12億円規模とみられる条件を提示しており、今後も引き続き残留に向けて交渉を続けていく。甲斐自身も「今までやってきたことに関して、いい評価、いい提案をしていただいたと思います」と感謝を口にする。ただ、球界屈指の守備力を誇る捕手のFAだけに、すでに巨人が水面下で強い関心を示すなど、争奪戦となるのは間違いない。 果たして背番号19を背負う鷹の正捕手の決断は――。 (木下 大一) 【甲斐に聞く】 ――ギリギリまで悩んだ。 「日本シリーズも終わってすぐですし、もちろんたくさん考えて、こういった結論になりました」 ――決断に至った思いは。 「自分の野球人生においてもこのタイミングだけだと思うので、その権利をしっかり使ってですね。大きな決断になると思うんですけど、いろいろな話を聞いてみたいと思いました」 ――育成選手で入団し、FA権を行使するまでになった。 「もの凄く、感慨深い。育成で入って当時、ホークスに3軍ができて、そういったところで僕も入ることができたと思っています。ホークス球団、施設でやらせていただいて今の自分がある」 ≪小久保監督「自分で得た権利。自分で考えて答えを…」≫ H…小久保監督が甲斐のFA権行使について語った。この日も筑後ファーム施設で野手キャンプを視察。権利行使を報道で知った指揮官は「育成選手から日本代表の捕手に上り詰めて、自分で得た権利。そこは自分で考えて答えを出し、よりいい野球人生を。どこのチームでプレーをしようが(監督の)おれがどうこうはないです」と素直な思いを明かした。