坂本龍一から「したたかに、しなやかにだよ」とDMが…ジャーナリスト・堀潤が励まされた出来事
ジャーナリストの堀潤さんが、人生に影響を与えた出会いについて語り、おすすめの楽曲を紹介した。 堀さんが登場したのはJ-WAVEで放送された『STEP ONE』のワンコーナー「Expedia LISTEN AND LEARN」(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)。ここでは2月26日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。
敬意を持って壊し、新しいものを作る
元NHKアナウンサーで、ジャーナリストとして世界のさまざまな情報を発信する堀さん。J-WAVEでは『JAM THE PLANET』の水曜・木曜19時台を担当している。 そんな堀さんが学びを得た人物は、NHKに入局したばかりのころに出会った、備前焼 人間国宝の伊勢崎淳さん。堀さんは初任地が岡山県だったため、備前焼のドキュメンタリー番組を制作する際に知り合ったという。 堀:僕は、たまたま伊勢崎さんが人間国宝に選ばれるっていうタイミングで、伊勢崎さんを主人公にした初めての30分ドキュメンタリーのディレクターとして、取材したんですね。そしたら伊勢崎さんが「堀くん、山に行ったら昔の備前焼のかけらがいまもいっぱい眠ってるから、山を歩きながら撮影するのはどうですか?」って言ってくれて、「いいですね」って。で、取材しながら「これは鎌倉(時代)だね、これは室町だね」って話すなかで、「堀くん、質問がある。『伝統』と『伝承』の違いって、知っていますか?」っていわれたんですね。「え、伝統と伝承って違うんですか?」「違うんだよ」と。「『伝承』っていうのは、昔からあるものをそのままちゃんと伝えていくこと。民話や民謡もそうだし、昔の人のものをそのまま伝える、ちゃんと守る。『伝統』っていうのはその時代の職人が『前の時代のものを壊してやろう』と思って、最新の革新を追求する行為なんだよ。だから見てごらん、この室町のものとこちらの新しいもの、全然違うでしょ。職人がこうやって新しい時代を切り拓いている、まさに革新の連続が『伝統』なんだよ」と言っていて、それがその後の人生を大きく変えました。「とにかく同じことをやるんじゃない」「いままでのものを壊して、新しいものを作るんだ」と。それが、これまで積み重ねてきたものへの愛情だったり、歴史を受け継いでいく敬意だということを教えてもらいました。 この話を聞いた、『STEP ONE』ナビゲーターのサッシャ&ノイハウス萌菜の反応は? サッシャ:『伝承』と『伝統』、なるほどなぁ。 ノイハウス:考えたことなかったな。 サッシャ:どっちかっていうと『伝統』を保守的な扱いをする人が多いですよね。「これは我が社の伝統だから、変えられないんだよ」みたいなニュアンスを思い浮かべることが多いから、なんとなく伝統っていうと変えられないものって印象があるんですけど、こちらが正しいんだろうなと思う。リスペクトをもったうえで、打ち壊して新しいものを作っていくことこそが、前(の時代)に対する愛情なんだと。 ノイハウス:誰もが伝統を作り出せるって思うと、仕事への向き合い方とかも変わりますよね。「やらなきゃいけないこと」じゃなくて「作っていける」と思うと、すごく明るい気持ちになるというか……。 サッシャ:前の時代の人も、いま生きてたら多分同じことはやらない。いまの時代に合うことをやる。だから(前時代の)精神は持ちつつ、いまの時代に合ったことをやっていくことこそが伝統なんだというね。肝に銘じて行動したいと思います。