【年金月額17万円、70歳】賃貸アパートの立ち退きを迫られるも、転居先決まらず…背景に、不動産会社「孤独死による事故物件化懸念」約4割の現実
孤独死による事故物件化が不安な不動産会社、37.9%
同じく株式会社R65は、不動産を貸す側の声も調査している。『高齢者向け賃貸に関する実態調査』によると、「管理戸数全体のうち、高齢者入居可能な賃貸住宅の割合」をたずねたところ、「ない」が25.7%、「0~20%」が28.9%となっている。 また、直近1年間で年齢を理由に入居を断ったことがあるかとの問いには、28.3%が「ある」と回答。4社に1社以上が年齢を理由に入居を断っている。 高齢者の入居に伴う不安だが、〈入居前の不安〉としては「孤独死による事故物件化」が37.9%で最多。以降、「死後の残置物の処理」「家賃滞納」「火災」「近隣住民からの苦情」と続いている。〈入居後のトラブル〉についても、最多は「孤独死による事故」が21.9%と最多。以降、「家賃滞納」「死後の残置物の処理」と続く。
いっそ「老人ホーム」でいいのでは…
家を借りたい高齢者と、貸したくない不動産会社。二者間の距離はかなり遠いようだが、高齢者が賃貸を借りるためには、いくつかポイントがあるといえる。 ●健康不安の少なさをPR 健康不安がないことを伝えれば、不動産会社の対応も少しや緩和されるかもしれない。もし不安がある場合も、いざとなったら家族がケアマネージャー等のサポートを受けられるようにしておき、その旨をしっかりPRしよう。 ●金銭不安の少なさをPR 金銭面に不安がないことも重要だ。そのためには、年金額や貯蓄額を証明する書類を準備しよう。できる限り連帯保証人を立てるようにし、もし無理な場合も、入居希望者が賃貸住宅を借りやすくする「家賃債務保証」等を利用しよう。 ●シニア向け物件を探す 最近はシニア向け分譲マンションなど高齢者専用物件も増えている。費用が高めなのが痛いが、このような物件に絞って探す方法もある。 ●老人ホームも選択肢にする 思い切って老人ホームを選択するというのも手。「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」であれば、自宅とほぼ変わらない自由度の高い暮らしができる。基本的に外部の介護サービスを利用する「住宅型有料老人ホーム」は、比較的自立の高齢者が多い。自立していれば、利用料金を抑えることができるのも魅力だ。ただし、費用面には要注意。国土交通省によれば、サ高住の月額費用は平均10.8万円。初期費用は保証金(敷金)のみで、10万~30万円程度が相場。とはいえ、賃貸物件に引越しをするのとさほど変わらない費用で入居できる。 深刻化する高齢者の「住宅難民問題」も、住まいの選択の幅を広げれば、意外とあっさり着地がかなうかもしれない。 [参考資料] 厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』 株式会社R65『65歳以上が賃貸住宅を借りにくい問題に関する実態調査』 株式会社R65『高齢者向け賃貸に関する実態調査』 国土交通省『家賃債務保証の現状』 国土交通省『高齢者の住まいに関する現状と施策の動向』 THE GOLO ONLINE 編集部
THE GOLD ONLINE編集部